「オール怪談・63」(1965年頃/220円)



 収録作品

・小島剛夕「鬼あざみ」
「浪人である、貧乏な青年。
 彼は、賄賂を出せないばかりに仕官勤めもできないことに嫌気がさす。
 そして、鬼婆と忌み嫌われている高利貸しの老婆を殺害して、その隠し金を奪う。
 その老婆には、孫娘がいたが、唖(おし)だったので、殺しはしなかった。
 が、その唖娘が、青年の前にたびたび姿を現し、「オカネ…カエシテ…と訴えかける…」  小島剛夕版「罪と罰」なのでしょうか?
「罪と罰」なんて読んだのは数十年前のことで、内容をちっとも覚えておりませんので、見当違いかもしれませんが…。

・鹿野はるお「影を慕いて」
「信濃(長野県)の国。
 名主山脇茂左エ門の一人娘、お絹は、小さい頃から愛情を育んできた橘雄四郎との仲を裂かれてから、病床に就く。
 父親は痩せ衰えていく娘を心配し、橘雄四郎との仲を許すが、お絹が心変わりしたと思った橘雄四郎はこの土地から去ってしまっていた。
 とある日、お絹は、雄四郎に会い、訳を説明して許してもらったという夢を見たと言う。
 そして、雄四郎に困ったことが起きるから、彼を探しに出かけると言う。
 その夜、父親と老僕は障子に装いを凝らした娘の影を見るが、お絹は寝床の中にいた。
 その夜以来、お絹は全く魂が抜けたような状態になってしまうのだった…」
「聊斎志異」なんかにありそうな話です。
 どこかで読んだことがある内容なのですが、今のところ、確認とれておりません。
 なかなか味のあるマンガ化で、楽しめました。

・岩井しげお「灰色の剣士」
「剣雲流道場の跡継ぎを巡って、醜く対立する双子の剣士。
 病んだ父親は、跡継ぎを決めるため、二人に灰色の剣士と真剣で決闘することを命じる。
 その灰色の剣士の正体とは…」

 ちなみに、「オール怪談」の時代劇を中心としたものは、扉絵や目次の絵を小島剛夕先生が担当しているものがあります。
 この本の目次の絵は、泥沼の中で討ち死にした武士と馬の腐乱死体に烏がたかっているという、非常に鬱な絵でありまして、この本の中で一番怖いです…。

・備考
 状態悪し。カバー、ボロボロ。ビニールカバー貼り付け。糸綴じの穴あり。小口を緑色に塗っている。pp56〜62にかけてシミひどい。

平成26年12月2・3日 ページ作成・執筆

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