「オール怪談・65」(1965年頃/220円)



 収録作品

・小島剛夕「続・番町皿屋敷 お菊の執念」
「四年後、立派に成長した三之助が家に帰ってくる。
 彼の母は彼が到着する前に惜しくも亡くなっていた。
 が、菊の真心によって三之助は慰められる。
 三之助が菊を想う気持ちは以前と変わらず、彼は菊に将来を約束する。
 ところが、三之助のもとに老中の娘との縁談が舞い込む。
 不安な気持ちで、菊は家宝の霜秋の皿を磨く。
 すると、その皿にぼんやりと人の顔が浮かび上がる。
 そして、五枚目の皿に自分の顔が浮かび上がったのを見た時に、菊は思わず皿を投げつけて、割ってしまう。
 三之助は菊をかばい、命を助けようとするが、拝領品を割ったとなっては、ただでは済まない。
 その夜、菊は「青山家に恋を許さぬ」呪われた皿を一枚ずつ井戸に投げ捨て、三之助が止めるのも聞かず、井戸に身を投げる。
 その後、菊が花開く時に、三之助と老中の娘との結婚式が行われるが…」
 前編・後編合わせて、百ページ近いだけあって、かなり読み応えがあります。
 何とか復刻していただきたいものです。

・岩井しげお「喰地(くち)」
「仇として追われる、臆病で卑怯な侍。
 彼を狙う、三人の息子のうちの一人から逃げて、侍は山奥に入り込む。
 絶体絶命の時、突如、地面が割れ、敵討ちの侍を飲み込んでしまう。
 何が起こったかわからない侍は試しに通りがかりの農夫をその場所に案内すると、やはり地面が割れて、その農夫を飲み込んでしまった。
 侍はこれを利用して、自分の命を狙う、残り二人を片付けようとする…」
 なかなかヘンな話です。
 水木しげる先生の影響があるのか、ないのか…何とも言えません……。

・月宮よしと「笛」
「笛を学ぶ侍。
 彼はある日、乞食小屋から流れる素晴らしい音色を耳にする。
 その乞食はもと武士だったが、この笛を手に入れてから、不幸の連続だったと言う。
 乞食が語るには、この笛は呪われており、関わる者は皆、不幸に見舞われるとのこと。
 その通り、その夜に、侍は乞食のもとを訪れ、彼を斬殺して、笛を手に入れる。
 が、その日から彼は悪夢に苛まされるようになる。
 この笛にまつわる因縁とは…」
 元ネタは、岡本綺堂「笛塚」(注1)でして、若干アレンジしております。
 ひばり書房で、月宮よしと先生の怪奇ものはなかなか珍しいように思います。
 同じ時代劇でも、小島先生より今ひとつ物足りないのは、「女っ気」がないせいでしょうか?

・注1
 岡本綺堂「影を踏まれた女」(光文社時代小説文庫/2006年5月20日初版1刷発行)に収録。
 岡本綺堂の怪談…メチャクチャいいです。この「語り口」…絶品です!!

・備考
 ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。後の見返し、切り取られ。pp41〜43、目立つシミ。

2014年12月4日 ページ作成・執筆
2016年3月19日 加筆訂正

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