「オール怪談・66」(1965〜66年頃/220円)



 収録作品

・小島剛夕「傘」
「傘張りをして、わずかな稼ぎを得る浪人。
 彼は、偶然に隣の部屋に住む按摩とその妻の会話を耳にする。
 二人はこつこつと五十両の金を貯め、それで夫に検校(注1)の地位を買おうと話していた。
 その夜、妻は雨にも関わらず、その金を渡すため、外出する。
 浪人は彼女を襲って斬殺して、金を奪う。
 うまく行ったかに思えたが、岡引きに目を付けられ、うかつに金を使えない。
 が、彼が傘を目にする度に、殺した女の亡霊が現われる…」

・関すすむ「幽霊船」
「寛永八年(1631年)、佐渡ヶ島へ向かう船が中国人の海賊に襲われる。
 女人禁制の船に一人だけ女性がいたが、その夫は彼女を佐渡島に売り飛ばすつもりだった。
 船にいた人々は、海賊が酒に酔った隙に、船に火を放ち時、海賊を皆殺しにする。
 また、女性も用済みと夫の手によって海に投げ込まれるのだった。
 そして、船の人々は、金山で働くよりは、海賊になることを選ぶ。
 海賊となった彼らは人々に恐れられるが、ある日、奇妙な船が海賊船に近づいてくる…」

・小島剛夕「おぼろ笛」
「飛騨の連山で山狼の群れに襲われ、傷ついた侍。彼は剣の達人で、名は小四郎。
 彼はおぼろという娘に助けられ、しばらく彼女の小屋に滞在する。
 清らかなおぼろに癒され、小四郎とおぼろは互いに心惹かれあう。
 が、彼女の住む部落は、織田信長の伊賀攻めの際に、生き延びた忍者達の住む所だった。
 そして、小四郎が向かう場所は、織田信長の伊賀攻めに協力した犬丸城。
 小四郎は、伊賀忍者にこの場所のことを話さぬことを約束して、別れる。
 小四郎が犬丸城に来てから、一月。小四郎はおぼろの真心が日に日に慕わしい。
 その夜、城に忍び込み、銃撃された忍者のもとに小四郎が駆けつけると、それはおぼろであった。
 おぼろを逃がそうとする小四郎だが、虫の息のおぼろは小四郎に笛を託し、自分を想い出した時に吹いてくれるよう頼む。
 そして、その夜のうちに城から逃げ出すよう勧める。
 伊賀の落ち忍者達の大作戦が始まろうとしていた…」
 絵柄から推測して、少し昔の作品だろうと思います。「忍法帖」や「別冊怪談 時代特集」のあたりに掲載された作品の再録ではないでしょうか?
 ネタばれですが、ネズミの大襲撃の描写は、大スペクタル!!
 手塚治虫先生の「ミクロイドS」と一緒で、これだけで立派な「怪奇マンガ」です!!

・注1
「昔、盲人に与えられた最上の官名」(「角川新国語辞典」より引用)

・備考
 状態かなり悪し。ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。小口研磨より寸法小さし。前の見返し、欠如。p15(小島作品)、鉛筆による落書きあり。pp25・26(小島作品)、コマにかかる大きな裂け。pp33・34(関作品)、大きな裂け。pp63・64(関作品)、下部にコマにかかる大きめな欠如。所々に目立つシミあり。

平成26年12月4・8日 ページ作成・執筆

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