「オール怪談・69」(220円)
収録作品
・小島剛夕「百狐の笛」
「ある館の前に、矢を受け、倒れていた女性。
その屋敷の姫と、家人の晴名が発見し、介抱する。
その女性の受けた矢は、城の守護神のいけにえを決めるための神矢であった。
家の門に立つ矢が、偶然通りがかった女性に当たったらしく、女性はそれがもとで自分の名前以外の記憶を失ってしまう。
白縫と名乗る女性は、家人の晴名の手厚い介護を受けるうちに、晴名に想いを寄せるようになる。
が、姫と晴名は相思相愛の仲だった。
また、姫がいけにえとなる身であることも知ってしまう。
思い悩む白縫のもとに、とある夜、白狐の眷属が訪れる。
白縫は、眷属の中の不知火姫と呼ばれるものだった…」
・福田三省「討ちつ討たれつ」
「五年の歳月をかけ、父の仇を討った青年。
皆が歓迎してくれるものと思い、故郷に帰るが、どうも態度がよそよそしい。
しかも、許婚は家老の息子に嫁ぐことになっていた。
不審に思う青年のもとに、青年に仇として殺された男が度々現われ、「俺のところに来い」と誘う。
そして、仇討ちに関する事実が次々と明らかになるのだった…」
・岩井しげお「猫と烏」
「遊びごとが好きで、愚連隊と付き合う侍。
しかし、金の切れ目が縁の切れ目で、金策に行き詰る。
立ち寄った茶店で、烏を肩に載せた、メクラの按摩を見かける。
人の噂を聞くと、烏を非常に可愛がり、この烏がまた賢いとのこと。
また、この按摩の奥さんがオシで、非常に黒猫を可愛がっているという。
繁盛していると聞き、侍は夜、この夫婦のもとに強盗に押し入る。
夫婦は金を出すが、烏に頬かむりを取られてしまい、顔を見られた侍は二人を斬殺。
まんまと金をせしめた侍だが、彼の行くところに黒猫と烏が付きまとう…」
ロバート・ブロック「魔女の猫」の要素がちょっぴり入っているような気がします。
偶然かもしれませんが…。
・小島剛夕「ほたる火」
「あんまの徳市は、元はとある店の奉公人。大火事で店が焼けた時に、店のお嬢さんを救うため、視力を失ってしまったのだった。
徳市は、両親も店も財産も失ったお嬢さんを影になり日向になり支えるが、お嬢さんの心の中には、元・奉公人で役者に弟子入りした駒四郎の面影が会った。
お嬢と駒四郎の仲が裂かれようとしている時、徳市がとった行動とは…」
「怪談・37」(ひばり書房)からの再録。タイトル画像を御覧になりたい方は、そちらへどうぞ。
・備考
ビニールカバー貼り付け。ホッチキスによる綴じあり。pp133・134(小島作品)の上部にコマにかかる破れあり。
平成26年11月6・7日 ページ作成・執筆