「オール怪談・79」(1967年8月頃?/220円)
収録作品
・浜慎二「野望」
「成功するために、犯罪を繰り返す男とその弟分。
男の方は自分の野望のためには手段を問わないが、弟分の方は他人を思いやって、被害者を気の毒がり、最後にはかばい立てするという有様。
ある夜、裕福そうな家に押し入ったところ、家の子供をかばい、弟分は被弾、死んでしまう。
その夜から、男に弟分の幽霊がつきまとい、男に優しい人になってくれと諭し続けるのだった…」
「怪談・53」(つばめ出版)からの再録。
・小島剛夕「埋れ木」
「ある領国の新城の若殿である新三郎は、山の景色を楽しむうちに深入りしてしまう。
新三郎は、滝のほとりから聞こえてきた、妙なる笛の響に導かれ、おぼろと出会う。
新三郎はおぼろに美しさに心打たれ、おぼろも新三郎の面影が胸に焼きつく。
だが、おぼろの正体は忍者であり、父親とその仲間は新三郎の命を狙っていた。
二人から新三郎の命を救ったものの、おぼろが忍者であることを知った新三郎は彼女に背を向ける。
数日後の夜、おぼろは新三郎の胸のうちを知るために、城に潜入する…」
「オール怪談・40」からの再録。
・山上たつひこ「ヒロシマ1967」(1967年7月14日に完成)
「心理学の八代教授のもとに連れてこられた、一人の少女。
少女は赤ん坊の頃に脳性小児マヒにかかり、白痴であった。
しかし、彼女には特殊な能力があり、過去の事件を映像で再現することができるのだった。
少女の能力を試すために、八代教授は警察に出向き、ある犯人の前で、その殺人現場を再現してみせる。
それがマスコミに取り上げられ、スキャンダルとなってしまい、少女の身内の者は少女を教授のもとから連れ帰る。
が、数日後、少女は誘拐されてしまうのだった…」
大傑作です!!
完成度の高い、SFホラーでありまして、大抵「SF」の要素を取り入れているものはあまりのデタラメさに噴飯ものが多いのですが、きっちり破綻なくまとめ上げております。
この「破綻」がないというのが、凄いです…。いや、本当に凄いです!!
ちなみに、1967年8月の広島でこのマンガを読んだ人はさぞかしイヤな思いをしたことでしょう。(元祖「地獄の子守唄」なのでしょうか…)
「怪談スリラー」(ひばり書房黒枠)にて再録。
中表紙と、浜慎二先生の「野望」が「怪談・53」(つばめ出版)からの再録です。
・備考
カバー貼り付け。糸綴じあり。本体に割れ多々あり。後の見返しに貸出票貼り付け。pp87・88(山上作品)、上部にコマにかかる破れあり。
2014年12月16・17日 ページ作成・執筆
2017年3月17日 加筆訂正