古賀新一「わるいやつら」(220円/1967年頃?)
「ある孤児に情が移り、一緒に生活しようとする学生の湯浅。
しかし、世の中、そんなに甘くなく、いくら働いても、生活は楽にならず、子供が病気になっても、薬代さえない。
金を手に入れるため、質屋で強盗を働くものの、一銭も手に入れることもできず、あろうことか、殺人まで犯してしまう。
次は、黒田という男と手を組み、夜中に会社から大金を金庫から盗み出す。
二人は金の大部分を隠し、旅館に滞在することになるが、黒田という男はどうも様子がおかしい。
夜は眠ろうとせず、また、食事をしている様子が全くない。
更に、旅館で飼われている鶏の首が何者かに切断されたり、黒田が他の客の喉笛に噛みつくことなどがあり、湯浅は黒田が吸血鬼ではないかと疑う。
警察が旅館を訪れ、湯浅は黒田の家に身を潜めることとなる。
黒田の家は、広大な墓地の奥にある荒れ果てた洋館であった。
その屋敷には、いやな噂があり、人は滅多に近づかないと、黒田は話す。
その夜、湯浅の寝室に下男が現れ、湯浅に屋敷から一刻も早く逃げ出すよう警告する。
というのも、黒田とその両親は死人であり、毎夜、下男から血を吸うのだと言うのであった。
これを皮切りに、現実と幻想の入り混じった、奇怪な出来事の数々に湯浅は巻き込まれることとなる…」
古賀新一先生のお得意の、バッド・トリップのような怪現象の連鎖が堪能できる一冊です。
納得できるようなできないようなラストも、味わい深いですね。
ひばり書房黒枠での「死人の家」にて再録されている…らしいのですが、単行本紛失してしまったので、断言することができません…。(注1)
・注1
コレクションを続けていると、いつの間にやらどっかに行ってしまうものってたくさんあります。
矢乃藤かちすけ「悪魔の血が踊る」(ひばり書房黒枠)、古賀新一「くらやみ」(ひばり書房黒枠/買い直しました)、森由岐子「生霊」(貸本/ひばり書房)、あかしまや(森由岐子先生の別のペンネーム)「柩のある家」(出版社不明)、早見純「これが芸術だ」(一水社/仕方なく…買い直しました…)…忘れているだけで、他にもあるかもしれません。
どうやら、家族に捨てられちゃった模様です。
・備考
状態悪し。本体下部、ネズミにかじられた痕あり。カバー貼り付け、かつ、ビニールカバーの剥がし痕あり。下部に水濡れの痕あり。巻末に貸出票貼り付け。
2016年8月10日 ページ作成・執筆