池川伸治「血のない美少年」(220円/1968年1月29日完成)

「夢子は、理想の男の子が現れる日を待ち望む少女。
 ある日、絵画教室の出かけた姉が、一枚の絵を持ち帰る。
 その絵に描かれた青年に、夢子は一目惚れ。
 姉に絵を譲ってもらい、以来、絵の人物を本物であるかのように接する。
 ある霧の深い夜、夢子は絵の中の青年と現実に出会う。
 夢子は青年と出会ったことで心の苦しみがなくなったと話し、青年は霧の夜に現れると約束して、夢子のもとから去る。
 翌日、夢子は家の前で、絵の青年とそっくりな青年と出会う。
 彼の名は古川しげる。夢子のペンフレンドで、佐賀県から東京に出てきたのだと言う。
 二人はたちまち意気投合、楽しく語らって過ごす。
 その夜、霧の中から絵の青年が夢子のもとにやって来る。
 青年は夢子に心の苦しみを訴え、彼女にそれを取り除いて欲しいと頼む。
 そして、青年は自分以外の男性と付き合わないよう夢子に要求。
 その場はどうにかごまかしたものの、実際の話、絵の中の人物よりは実物の方がやっぱりいい。
 途方に暮れる夢子に、青年の絵がどこまでも付きまとう…」

 一種の「絵画怪談」で、普通にまとまってます。
 んで、普通にまとまっていると、「影が薄い」んですよね〜、池川伸治先生の作品は…。
 というワケで、個人的には、本編よりも「僕の漫画航路 三回」の方が興味深かったです。
 牧かずま先生(よく知りませんが、偉い人みたいです)のアシスタントから独立した頃の話で、いろいろと苦労があった模様です。
 また、その頃から、谷ゆきお(由起夫)先生とはお知り合いらしく、どういう影響を与え合ったのか、気になるところです。
 ちなみに、巻末、「継子いじめ物語」の次回予告が載っておりますが、こんな場面、どこにもなかったぞ!!

・備考
 Y文庫仕様(カバー裏に新聞紙等による補修。表紙を本体から取り外し、本体を何らかの厚紙で覆っている)。糸綴じあり。カバー痛み、また、背表紙色褪せ。後ろの遊び紙に鉛筆にて記入あり。

2017年7月10日 ページ作成・執筆

貸本・ひばり書房・リストに戻る

貸本ページに戻る

メインページに戻る