大石まどか「血みどろの爪」(220円)



「草葉美子は、敏腕記者の父親を持つ娘。
 父親が米国に出張に行く間、恋人の矢部圭一に家で一緒に暮らすよう手紙を出していたが、訪ねていた圭一の様子がおかしい。
 彼女はテレビで、彼に殺人の容疑がかかっていることを知り、彼を問い質す。
 殺されたのは服飾デザイナーの香取房子(25歳)という女性で、圭一は彼女とふとしたことで知り合い、金銭的な面で世話になっていた。
 圭一は、彼が彼女のもとを訪れていた時には殺されていたと犯行を否認するが、状況は彼に極めて不利。
 この一日、彼は下宿のオヤジを殴ったり、映画館で財布をすられた腹いせに自動車の中の財布を盗もうとしたりと行動に問題があるばかりか、凶器のナイフには彼の指紋が付き、更に、被害者の家に出入りするところを目撃されていた。
 唯一の手掛かりは、般若の面のアクセサリー。
 これは彼が半年前、なくしたペンダントに付いていたであったが、これが犯行現場に落ちていたのである。
 これをなくした際に居合わせたのは、香取房子と関わりのある三人。
 画家の益宮。
 曲芸師のジョージ梶原。
 バンドマンのドラマー、武井。
 美子は、真犯人を見つけるため、彼らを一人一人訪ねていくのだが…。
 そして、彼女の後をつける、サングラスの女性の正体は…?」

 ベテランの大石まどか先生によるミステリー・サスペンスです。
 怪奇色は薄いですが、冒頭の死体のシーン(カラー)はかなりのインパクト。
 内容的には大きな矛盾はなく、しっかりした作りですが、細かいところで説明不足というか、唐突なところがあるのが、惜しいです。
(例、圭一が香取房子と知り合った経緯とか、ジョージ梶原が香港旅行の件で友人にとっちめられるシーンとか)

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり、また、本体に歪みあり。糸綴じあり。前の遊び紙、欠損。後ろの見開き、貸出票の剥がし痕と書き込みあり。

2020年9月28日 ページ作成・執筆

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