池川伸治「雨の日の猫橋」(230円/1968年9月27日完成)

「高崎妙子の屋敷の庭にある猫橋は呪われているという噂があった。
 戦後作られたものであったが、高崎家に関係する人々がその橋で度々不審死していた。
 クラスの委員長の治は、妙子を呼び出し、日本の怪談の発表会のテーマに猫橋について調べたいと話す。
 妙子は反対するが、治は迷信を打破したいと引き下がらない。
 妙子の両親も猫橋で死んでおり、実のところ、彼女としても猫橋の謎を解明したく、治に協力を約束する。
 婆やの監視の隙を見て、治は猫橋を渡ってみるが、途中、急に眩暈に襲われ、橋から転落してしまう。
 頭部に軽い怪我をしただけで済んだものの、治には原因がさっぱりわからず、謎を解明しようと躍起になる。
 だが、治と共に猫橋を研究しようとした女子生徒達が相次いで亡くなる。
 まず、トン子が謎の睡眠薬中毒で死亡。
 次に、彼女の追悼会で、佐代がふぐ料理で中毒死を遂げる。
 治と、トン子の兄が猫橋の話を聞くために、高崎家を訪れる。
 二人には事件の中心に妙子がいるような気がしてならないのであった。
 だが、その妙子も猫橋のかかる川の水で顔を洗った際に、顔の皮膚が焼けただれてしまう。
 警察には言わないよう妙子に念を押され、二人は高崎家を後にするが、実は、妙子にはある企みがあった。
 高崎妙子の思惑とは…?
 猫橋の秘密とは…?」

 発想は面白いと思います。
 が、細部で詰めの甘いところが幾つもあって、それが興を削いでいるように思います。(注1)
 あと、カバー表紙での「水車に身体を張りつけてグルグル」描写が本文でないのが残念!!
 ストーリーに関係なくても、ムリヤリ入れておいたら、もっと面白くなったかもしれないのに…。(そうしたところで、実際は面白くならないのが、世のままならないところ。)
 ついでに書いておきますと、「雨の日の猫橋」というタイトルに反して、雨が降っているシーンは皆無です。

・注1
 本来、貸本は時間潰しに読み飛ばすものなので、いちいち細かいところは読者は気にしなかったと思います。
 ですが、私は一応、簡単に粗筋を紹介するために、何回か読みなおす必要があり、そうすると、小さな矛盾がちらほら目についてくるのです。
 もっと広い心で受け止めることができればいいのですが、そこまで度量が大きくないので、あしからず。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。糸綴じあり。本文に目立つシミがちらほら。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2017年11月23日 ページ作成・執筆

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