さがみゆき「おしゃべりな死人の恋」(230円/1968年頃)
「六月の梅雨の最中、人里離れた療養所を訪れた津奈木健二。
病気の身体を休めるためとは言うものの、退屈極まりない療養生活。
ただ一つの慰めは、隣の病室に入ってきた戸川マミ。
若く、美しく、積極的なマミに、健二は心惹かれる。
そんなマミの特に変わったところは、雷を極端に恐れるということだった。
ある夜、健二はマミが死体置き場に歩いて行くのを目にする。
健二は後をつけるが、マミの姿は死体置き場にはない。
その代わり、当日、死んだはずの小説家の姿がそこにあった。
気を失った健二は、自分の部屋で目を覚ますが、どうしても自分が夢を見ていたとは思えない。
その夜、死体置き場を調べるが、そこには小説家の死体が安置されていた。
が、はっきりとその小説家が歩いていたと確信する健二は、マミが何かの秘密を持っていると考えるのだが…」
後記で、さがみゆき先生は、星新一のファンであると書いております。
本作で、SFに挑戦したとのことですが、できたのは、「宇宙人が死人に乗り移って、人類を侵略しようとする」という、ぶっとんだ作品だったのでした。
テーマとしては、「ゾンビ」ものでありますが、ラストにはUFOまで出てきますし、なかなかの快作(怪作)であります。
さがみゆき先生の個性の凄さを思い知らされる作品であります。
・備考
カバー破れによる補修あり、また背表紙の部分が五センチ程度欠損。カバーを貼り付けたテープの跡あり。前後の遊び紙に貸本店のスタンプあり。巻末に貸出票貼り付け。小口の底に貸本店のスタンプあり。
平成27年8月9日・10月1日 ページ作成・執筆