さがみゆき「のろわれた花嫁」(220円/1967年頃)

「史蹟研究家を目指す浩とその妹の美奈子は、平家の隠れ部落を捜して、山奥深くに入り込む。
 部落はみつからず、日も暮れた時に、二人はようやく大きな屋敷を発見。
 そこには老婆が一人住んでおり、浩を見ると、何やら驚いた様子を見せる。
 平家部落はこの近くであったが、夜も遅いので、一晩泊まっていくこととなる。
 二人が泊まる部屋には多くの能面が飾られ、白い能面を付けて舞う女性を描いた屏風があった。
 その夜、美奈子は泣き声で目を覚ます。
 寝ている兄の横で、屏風の能面を付けた女性が座って、泣いているのであった。
 浩を呼んで起こすと、その女性は外へ姿を消す。
 浩は女性を追い、美奈子もその後を追うが、浩の姿を滝のあたりで見失う。
 そこで、能面を付けた女性が現れ、美奈子にすぐにこの地を去るように言う。
 そして、婚礼の邪魔をする者は殺すと警告するのであった。
 意識を失った美奈子は、屋敷で目を覚ますが、そこに浩の姿はなかった。
 置手紙には調べ物のために外出すると書かれてあり、美奈子は兄を捜して、昨夜訪れた滝までやって来る。
 滝に修行僧がおり、美奈子に能面屋敷にまつわる話をしてくれる。
 数百年も昔、霧姫という、平家の美しい姫様がこの地に落ち延び、部落の長者の息子と婚礼を上げることになった。
 しかし、婚礼に現れた霧姫は白い能面を付けており、長者の息子が無理に能面を取ると、能面の下には病み崩れた素顔があった。
 驚き怯え、逃げ出す長者の息子を霧姫はどこまでも追い、そのうちに鬼と化してしまったと言う。
 それ以来、能面屋敷には霧姫の呪いがかけられているのであった。
 修行僧から能面屋敷の離れにそこの娘が暮らしていることを聞き、美奈子はそこを訪れる。
 そこには昨夜会った能面を付けた女性と浩がいた。
 その女性も霧姫と同じく肉の腐る病にかかり、能面はその顔にくっついたままであった。
 美奈子は必死に阻止しようとするが、霧姫の呪いは浩との婚礼を成就させようとする…」

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバーに折れ等の痛み、特に背表紙の上部に破れあり。糸綴じ穴あり。巻末ページに数字の書き込みあり。全体的に、目立つシミや汚れ多数。全体にわたって、下部に水濡れのようなシミあり(特に、pp24・25・46・48がひどい)。pp81・82、折れ痕あり。上部の小口に赤マジックで○の書き込みあり。pp91・92、コマの中に小さな穴あり。

平成27年11月13日の金曜日 ページ作成・執筆

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