杉戸光史「小町地蔵の死」(220円)
「東北のある山村、東北村。
ここには「小町地蔵」の伝説があった。
三百年前、大地主の娘、キク小町が、この村で「八百屋お七」と同じ事件を起こす。
彼女が火刑にされた後、供養のために、この地蔵が作られるが、以来、村では定期的に山火事が起こり、キク小町は炎にのり移って、今も生き続けていると考えられていた。
ある日、山本民子と大石多吾作は山に花を採りに行く。
山火事を発見した二人は、皆に知らせようとしたところ、急な雨が降り出し、鎮火。
焼け跡からは、一人の美しい娘が気絶しているのが見つかり、山本家に運ばれて、介抱を受ける。
その夜、民子は、娘が、かまどの中の薪の火を食べているのを目撃する。
秘密を知られた娘は、民子の命を狙うのだが、その正体は…?
一方、民子の親戚である星野みゆきが住む東京。
彼女の兄、義雄は最近、毎日、奇妙な夢を見る。
それは、髪の長い女が、火の中で、彼を呼んでいるという夢であった。
みゆきと共に、彼は東北村を訪れた時、どこかから彼を呼ぶような歌声が聞こえる。
だが、その歌声は彼にしか聞こえない。
歌声に導かれた先で、彼は、夢の中の娘に出会うのだが…」
後記によると、東北地方の伝説を題材に描かれたとのことです。
「火の精」を扱っており、まあまあ面白いのですが、ラストの「小町地蔵の死」があっさりし過ぎているかも…。
それを「筆者は言う……゜恋が女性の命なのだと……゜」という、クサいコメントで帳消し…にはできないなあ、やっぱり…。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバーに痛み、特に、背表紙色褪せ及びボロボロ。本編、下部に折れ。後ろの遊び紙に鉛筆による書き込みあり。
2021年4月4日 執筆・ページ作成