松下哲也「怪談人形師」(220円)
「関東一の大和人形づくりの名人と言われる十兵衛と、その弟子である16歳の面松。
人形のモデルとなる女性を求めて、半年…いまだその女性を見つけることができない。
スランプに苦しむ師匠の姿を見て、面松は心を痛めながらも、尊敬するのであった。
しかし、十兵衛は生活の苦しさに負け、人形製造工場での仕事を選ぶ。
師匠に捨てられた面松は、一人小屋に閉じこもり、数日かけて、等身大の女性の人形をつくり上げる。
その人形に似合う着物を手に入れるために、雨の夜、人気のない道にて、面松は顔見知りの女性、美樹を襲う。
はずみで美樹は崖から転落死、面松は美樹から着物を引ん剝くと、家に持ち帰る。
美しく着飾られた人形に惚れ惚れとした面松は人形にあれこれ話しかけているうちに、寝込んでしまう。
すると、人形が生命を得たかのように動き始めたのであった…」
松下哲也版「ピグマリオン」であります。
ただ、人形をつくり上げる際の描写が一切省略されておりますので、説得力には欠けるかも…。
あと、面松というキャラクターの受け取りよう如何によって、純愛ファンタジーにもなれば、サイコ・ホラーにもなるという、器用な(?)作品であります。
個人的には……いや、言うのはよしておきましょう…。
・備考
表紙・カバーに折れ痕あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。全体的にきれいなものの、目立つシミや汚れが幾つかあり。
2016年2月3日 ページ作成・執筆