関すすむ「鏡の中に吸血鬼」(220円)



「山川みゆきは、犯罪組織のボスである父親に連れられて、前妻の弟に会いに行く途中、交通事故に遭う。
 父親は亡くなり、みゆきは入院するが、彼女には予知能力が身に付いていた。
 実は、みゆき達が交通事故に遭った時、すぐ近くに、脳を保存を研究する研究所があった。
 研究所の博士と助手は事故のどさくさに紛れ、みゆきの父親の脳を犬の脳と入れ替え、彼の脳を保存実験に使用したのである。
 実験器の中にある、父親の脳は夜毎「脳波(?)」をみゆきのもとに飛ばし、鏡の中で実像化して、みゆきと会う。
 しかし、病院側はそのことを気味悪がり、みゆきを母親のもとへと返す。
 みゆきの母親は後妻であり、ひそかに愛人を囲い、例の交通事故も彼女の仕業であった。
 だが、父親の財産は巧みに隠され、そのありかを知っているのは、今は亡き父親と、彼が生前に会おうとしていた前妻の弟のみ。
 後妻はみゆきを拷問にかけて、財産の手がかりを得ようと考えるが、父親の「脳波」が彼女に憑りつき、後妻の魔手より守る。
 そして、父親の脳は、財産目当てに自分を殺そうとした後妻への復讐を果たそうとする…」

 断言します、「怪作」です!!
 タイトルに偽りありですが、そんなもの、気にならないぐらい、ヘンなマンガです。
 「ちとマッドな科学者に保存された脳ミソが、娘を守るため、脳波を飛ばして、憑依する」なんてマンガ、私の知る限り、これしかありません。
 同じ作者の、復刻された「洗脳」に近いノリで、SF的な知識をどう考えてもありえないような用い方をしており、この外し具合は見方によっては非常に斬新かもしれません。
 妙チクリンな描写満載で、へこへこ読んでいたら、ラストは「なさけ・むよう」なゴア描写が炸裂して、呆気にとられます。(カルト・ホラー「フレッシュイーターズ」(米/1964年)を彷彿としました。)


 正直なところ、ボロが多く、「テキト〜」かました作品ではあるものの、ここまでやれば、やったもの勝ち、個人的にはかなり面白かったです。
 んにしても、ヒロインが何故に予知能力が身に付いたのか、最後まで説明なかったな〜。(関すすむ先生の作品ですから。)

・備考
 状態悪し。ビニールカバー剥がし痕あり。袖にビニールカバー残り。背表紙色褪せ及びボロボロ。糸綴じあり。pp11・12、大きくページの奥破れ読み癖あり。小切れやシミ多し。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕と鉛筆による書き込みあり。

2017年7月14日 執筆・ページ作成

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