松下哲也「炎の少女は夜歩く」(1964年秋頃?/200円)
「岡野志麻子は、家の火事の際、家が焼け落ちたにも関わらず、怪我一つなく、生還する。
しかし、それ以降、志麻子の身体には異変が起こる。
雨の日に、ずぶ濡れになった志麻子は全身を激痛と寒さに襲われる。
また、ある日、志麻子に襲い掛かった犬が、突然、火だるまとなる。
こういう異変が近所の口の端に登るようになり、志麻子の心は浮かない。
そこへ子供が水鉄砲で志麻子にいたずらしようとすると、その子供も火だるまに。
パニックとなり、大人達に追いつめられた志麻子は反撃を開始。
そして、化け物扱いされた志麻子は、開き直り、町の人々を恐怖のどん底に突き落とすのであった…」
これぞまさしく元祖「ファイアースターター」!! 大好きな作品です。
そして、何よりも重大なのは「キャリー」が出版される十年以上も前に、ある法則を打ち出していることです。
それは「超能力少女は暴走する」という法則。
男だったら、こうはいきません。スティーブン・キングの「デッド・ゾーン」のようにストイックな展開になると思います。
か弱く、抵抗できない立場の女性が、情け容赦のない外部社会に翻弄された挙句、彼女の怒りや憎悪が、彼女の身に余る大きな「パワー」を解放させる…こういうストーリーが似たような「レイプ・リベンジ・ムービー」よりも魅力的なのは、「パワー」の存在の有無にあるのでしょう。
女性の心身に潜在する(らしい)、男には決して理解できない「不可思議さ」。
それが「パワー」に妙なリアリティーを与えているのではないでしょうか?
そして、その「パワー」が歯止めがきかないという点も…。
・備考
ビニールカバー貼り付け。
平成27年7月16・22日 ページ作成・執筆