松下哲也「満月の夜の悲鳴」(1964年秋頃(注1)/200円)

「ある部落に謎の奇病が蔓延、なす術もなく村人は死んでいく。
 部落の村人達は、隣の部落の老夫婦が奇病の原因だと思い込む。
 老夫婦は、月を神として崇めるという、風変わりな信仰を持っていたためであった。
 ある夜、七人の若者は、老夫婦を殺害するため、彼らの家に押し入るが、突如、現れた人魂に驚き、退散。
 その後、老夫婦は赤ん坊の泣き声を聞きつけ、家から出ると、竹薮の中の地中から赤ん坊の女子を見つけ出す。
 神様からの授かり物と老夫婦は赤ん坊を月子と名付け、育てることにするが、この赤ん坊は二日で美しい少女に成長する。
 老夫婦の命を狙う若者達は少女を見初めてしまうが、彼らは血みどろの最後を迎えることとなる。
 少女の正体は…?
 そして、謎の奇病の原因とは…?」

 話自体はそれほど悪くないのですが、肝心な「過去に起こった二つの部落の間での因縁」が、幾度か読み返しましたが、よくわかりません。
 そして、月子のキャラもいまいち釈然としません。(最終的には、やっぱり暴走してますし…)
 ただ、絵は宏文堂の頃より遥かに進歩しておりまして、松下哲也先生の描かれる美少女キャラはなかなか可憐であります。

・注1
 巻末に、「第一回テープレコーダークイズ」の抽選結果の記事が載っております。
 小島剛夕先生が抽選、楳図かずお先生が立会人という物凄く豪華な抽選風景の写真がありますが、暗くぼやけていて、顔などがさっぱりわかりません。
(楳図かずお先生の着ている服が、お馴染みの横縞柄のシャツなのはわかりますが、この時代から赤白の横縞柄なのでしょうか?)
 この応募が1964年8月末までなので、この本の出版を1964年の秋頃と推測する次第なのであります。

・備考
 状態非常に悪し。カバー欠。表紙痛みあり。前の遊び紙破れ。コマにかかる裂け、多数あり。シミ多くあり。後ろの遊び紙、痛みが激しい(前の遊び紙とイラスト違い。さがみゆき先生が一部描いているのでしょうか?)、また貸し出し表の貼り付け。

平成27年8月2日 ページ作成・執筆

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