杉戸光史「白い墓骨乙女?」(220円)
「次郎は悪魔に、ゆり子を轢き逃げしたのは、絵里加の父であることを知らされ、復讐の鬼と化す。
一方の絵里加は彼を探している時、森の中で、彼女にそっくりな女性を目にする。
木の陰からその女性の様子を窺っていると、近くで落雷があり、衝撃で意識を失った際に、アストラル・トリップ。
スペイシーな空間で、彼女は「天主さま」と出会い、全てを思い出す。
彼女は、平和で幸福な社会をつくるために遣わされた天使なのであった。
天主さまは彼女の愛で次郎を救うよう命ずる。
また、ゆり子とは双子の姉妹であり、彼女は上級天使の力により復活していた。
絵里加とゆり子は協力して、次郎を悪の道から救い出そうとするのだが…」
ミステリアスな前編の「夢美人花占い?」から一変して、後編の「白い墓骨乙女」は宗教色がぐっと強くなっております。
ただ、いきなり「天主さま」とか「昇天」とかされても、こちらとしては唖然とするしかないのですが…。
後編はずっとこんなノリで、ぶっちゃけ、抹香臭いです。
と、ここでお気づきになった方もあるかもしれませんが、「爆弾魔」と「天主」と来たら、ある作品を連想しませんでしょうか?
それは、松下哲也先生の「天使のギロチン」(注1)。
確証はありませんが、「夢美人花占い?」「白い墓骨乙女?」は「天使のギロチン」の影響下にあると睨んでます。
まあ、杉戸光史先生も松下哲也先生も同じ太陽プロなので、二人で内容を膨らませて、別々に描いた可能性の方がより高いとは思いますが…。
ちなみに、タイトルの「白い墓骨乙女?」ですが、「墓骨乙女って何?」と疑問を持つ方もいらっしゃると思います。
「墓骨乙女」の由来は、実は、右の画像の上級天使のセリフですが、言及はこの一か所のみ。
う~ん、おおらかな話です。
・注1
「天使のギロチン」は、キクタヒロシ氏の「昭和のヤバい漫画」(彩図社/2016年2月15日発行)に詳しく紹介されております。
・備考
ビニールカバー貼り付け、それによる歪みあり。小口の天と底にスタンプ押印。糸綴じあり。上部に水濡れの痕あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2018年3月11日 ページ作成・執筆