さがみゆき「お墓に手首と指三本」(220円)
「画家志望の少女、三原ルミ子。
絵画研究所の教師、野原大助に想いを寄せ、注目してもらうためにも、熱心に絵に取り組む。
ある日、研究所に一人の少女が入ってくる。
西村美知子という名の少女は美しいが、挑戦的で冷たい瞳を持っていた。
美知子は素晴らしい絵の才能を発揮し、ルミ子はライバル心を燃やす。
それだけでなく、美知子は野原大助とどんどん仲良くなり、ルミ子は嫉妬のあまり、絵を描けなくなる。
そこで、ルミ子が考え出した方法は、美知子の絵を描き、その目を、顔を切り刻むというものであった。
心に平静を取り戻し、以前のように絵を描けるようになった、ルミ子は、美知子が眼病にかかったことを聞く。
一応、ルミ子は美知子の見舞いに行くが、ルミ子はそこで美知子から妙な話を聞かされる。
絵は自分にとって命であり、失明しても、彼女の「手」が絵を描き続けるというのであった。
実際に、両目を包帯に覆われた状態で、美知子はルミ子の似顔絵をさらっと描き上げる。
ルミ子は美知子がインチキをしたと考えて、バカにされたと感じる。
美知子の眼病は重くははなく、しばらくして退院するが、その直後、実家が火事に見舞われる。
現場に出くわした野原大助は美知子を助けに行くものの、火の海からどうにか美知子を救出する。
が、その際に、美知子は片手と指を三本失ってしまうのであった…」
後に、ひばり書房黒枠単行本にて「蛇塚の死霊娘」とのカップリング、ヒバリ・ヒット・コミックスでは「口裂け女とお墓に手首」(もしくは、「口裂け女 お墓に手首と指三本」)のタイトルで復刻されております。
ひばり書房黒枠単行本の方は二十ページ以上削除されておりますが、ヒバリ・ヒット・コミックスの方は、貸本マンガをベースに、背景等の描き込み、一部のコマの描きなおし、「かたわ」を使った文章の削除箇所が二か所、為されております。
まあ、基本は一緒ですので、読んでみたい方がおられましたら、ヒバリ・ヒット・コミックスで充分、対応可能です。
貸本マンガの方は、絵がスッカスッカですので、手直しされた方が、怪奇ムードは上かもしれません。
その代わりと言ってはなんですが、貸本の方は、読者のページ「チャオ」にて、さがみゆき先生と御母上のツーショットの写真を拝見できます。
御母上は、締切日あたりには、ベンチャーズをかけながら、エプロン姿でマンガのベタ塗りを手伝ってくれていたそうです。
写真で受ける印象では、着物の似合う、しっとりした風情の御方なのですが…。
・備考
カバーの痛み、激しい。ボロボロな上、背表紙に欠損があり、裏へ補修あり。糸綴じ穴あり。読み癖あり。シミ、切れ、汚れ多し。巻末に貸出票の剥がし痕あり。
2015年11月25日 ページ作成・執筆
2018年1月21日 加筆訂正