池川伸治「私の霊柩車」(200円)
「二年前に両親を亡くし、のり子と妙子は二人きりの姉妹。
ある夜、のり子は寝床で片足を切断されるという重傷を負う。
発見が早く、命は助かったものの、彼女は、婚約者の修一に知られることを恐れ、警察にも届けず、泣いてばかり。
更に、廊下に犬の足跡があったこと以外、何の痕跡もなく、誰の仕業か皆目、わからない。
ある日、のり子は意を決して、修一を呼び出し、婚約解消を申し出る。
だが、修一は絶対に彼女と結婚すると宣言し、彼女達の家に寝泊まりすることとなる。
その夜、再び、姉の足がいつの間にか切断される。
今回も命は取り留めるが、合点のいかないことばかり。
何故、のり子はあれほどの重傷を負いながら、叫び声一つ立てなかったのか?
医者は、犬のような動物に噛み切られたと話すが、犬を操っている人物がいるのか?
修一はその夜、カラカラッという音を庭で聞いており、庭を調べる。
すると、犬らしき毛と、乳母車ぐらいの轍の跡があった。
それをつけていくと、医者の家のお手伝いさんが、経犬寺に入っていくところを目にする。
経犬寺は犬神信仰の寺らしいのだが…。
のり子が襲われる理由と、その意外な犯人とは…?」
タイトルの「霊柩車」の由来や、医者の家のお手伝いの行動等、色々と引っかかるところはあるのですが、トータルで見ると、面白いと思います。
この頃は、まだ「少女漫画」然としていて、後期の説教臭さが薄く、奇抜なストーリーを純粋に楽しむことができます。
あと、ストーリーをぶった切って、ヒロインがあらぬ方向にねじくれた面で不幸を嘆くシーンが幾度か挿入されており、池川伸治先生のエキセントリックさは相変わらず堪能することができます。(これは本当に強烈です…。)
・備考
ビニール・カバー貼り付け。p1(タイトルページ)、ひどい汚れと剥げあり。p36、ページ折れ。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり。
2021年10月17日 ページ作成・執筆