松下哲也「怪談狂い花」(220円)


 くどくどストーリーを述べても仕方がありません、「与謝野晶子の若かりし頃の恋物語」です。
 一応、「怪談」と銘打ってるからには、そういうテイストもあるものの、基本は恋愛ものです。(小島剛夕先生の影響大でしょうか?)
 恋愛ものと聞いて敬遠する向きもあるでしょうが、なかなか味わい深い作品です。
 三田京子先生の描く女性キャラは「濃過ぎる」と私は常々思っているのですが、三田京子版与謝野晶子は、いい塩梅でさっぱりしておりまして、かなりいいです。
(でも、やはりアイシャドーと睫毛がきつすぎますが…)
 また、与謝野晶子以外は、恐らく、松下哲也先生がメインに描いているようでして、全編を通して、すっきりとした印象を受けます。(注1)
 松下哲也先生と三田京子先生の個性がうまく働いた、佳作だと思います。
「怪談」とは言いにくいのですがね…。

 ちなみに、次回予告の「青年の華」の画像を載せておきます。
 三田京子先生の筆と思しき女性キャラが描かれておりまして、仁義云々のアダルティな作品になるのかと思いきや、実際はアナーキズム炸裂の作品となるのでありました。
 この落差がいいんですよね〜。

・注1
 個人的な好みの問題なのですが、私、三田京子先生の描かれる「美少年キャラ」が苦手なのであります。
 美少女キャラだけならわかりますが、男もあんな暑苦しい顔を紙面いっぱい張り出されれると、夏のラッシュアワーの人いきれを思わされます。
 それはそれで味なのですが、私はあっさりした描線の「松下哲也キャラ」の方が好きなんです。
 まあ、単なる好みの問題なのですが。

・備考
 状態非常に悪し。ビニールカバー貼り付け、かつ、歪み、また、剥がれたところが痛み。前の遊び紙、ボロボロ、下部に大きな欠損、かつ、後ろの遊び紙も破れ、下部に欠損。p32、p51、鉛筆による落書き。本体、湿気による猛烈な歪み。読み癖ひどし。

平成27年7月21日・8月2日 ページ作成・執筆

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