杉戸光史「魔那子の怪」(220円)
「太田(注1)悟郎とその妹の雪子は、野球部の先輩の石塚と共に帰宅する途中、美しい少女を目にする。
かわいこちゃんに目のない石塚は少女の後を追うが、ほどなくして、首吊り死体となって発見される。
翌日、雪子のクラスにその少女が転入してくる。
少女の名は西田魔那子といい、彼女の美しさにクラスが騒然、しかし、雪子の心中は穏やかでない。
その日の放課後、とある事情から、雪子と兄の悟郎、親友のマコは魔那子の邸を訪れる。
魔那子がマナをトイレに案内している時、雷が鳴り響くと、魔那子は悲鳴を上げ、部屋にとび込む。
マコが魔那子の態度を訝っていると、廊下の隅にあるものを見る。
トイレから戻ったマコはどこか虚ろで、帰る途中、まるで招かれるように、崖から転落死する。
マコの死から一週間後、魔那子の秘密を突き止めるため、雪子は夜中、その屋敷をこっそり訪れる。
マコは地下道を偶然に発見し、奥の地下室に棺桶を発見する。
そこへ、魔那子が現れ、眼球を、棺桶の中の母親のミイラへと戻す。
実は、盲目だった魔那子は、母親の眼球を借りて、視力を得ていた。
母親は、彼女が赤ん坊の頃、何者かに刺殺されており、その眼球に焼き付いた、殺人犯の映像を手掛かりに、魔那子は殺人犯をずっと探し続けていた。
また、母親は催眠術師で、その眼球には、人に催眠をかけ、意のままに操る能力があった。
雪子も、母親のミイラを見た際に、催眠術にかけられそうになるが、突如、現れた、見知らぬ青年に助けられる。
秘密を知った雪子を魔那子が追おうとした時、妹の身を案じた悟郎が魔那子の館に向かっていた。
魔那子は悟郎に催眠術をかけ、爺やと共に太田家に車で向かう。
一方、雪子は、帰宅途中の父親の車と鉢合わせ、事情を説明するが、父親は信じない。
二人のやり取りを離れたところから見ていた、魔那子はあることに気付く。
そして、母親の復讐を果たすために、一計を案じるのだが…」
面白いです。
若干の説明不足や御都合主義はありますが、展開がスピーディで一気に読ませます。
杉戸光史先生の貸本怪奇マンガの中で、良作と評価してもよいでしょう。
・注1
主人公の名字は最初は「浅井」(p23)とされているのに、後には「太田」(p102)と変わってます。
粗筋紹介では、後者を採っております。
・備考
ビニールカバー貼り付け。前後の見開きのノド、補強。糸綴じあり。後ろの遊び紙、大半、欠損。pp45・46、上隅の紙が折れたまま、印刷。
2018年3月15日 ページ作成・執筆