杉戸光史「死仮面の涙」(220円)
「飯箸加代が見た悪夢。
それは、加代が、丘にある西洋館に越してきた美和子という少女と遊んでいると、美和子の顔が仮面に変わり、扼殺されるというものであった。
その夢の通りに、丘の西洋館に家族が越してきて、その家の娘は和田美和子という少女であった。
加代と同じ、クラスになった美和子は、学級委員を務める、加代の彼氏、川島敏男と加代を、勉強のためと家に招く。
美和子には不審の念しかないものの、彼女の正体を確かめるには絶好のチャンスと考え、加代は招待を受ける。
美和子の家に招かれたものの、勉強なんかせずに遊んでばかり。
ふと背後に視線を感じた加代は、美和子の止めるのも聞かず、背後の部屋のドアを開ける。
そこには、奇怪な容貌の人形が立っていて、卒倒。
美和子は敏男に、前の住人が様々な仮面を集めていて、その部屋は倉庫として使われていたと説明する。
気が付いた加代はプリプリしながら、屋敷を後にするが、夜、美和子の屋敷に忘れ物をしたことに気付く。
夜、美和子の屋敷を訪れるが、全く明かりがついてなく、人気がない。
仕方なく中に忍んで行くと、急に床が破れ、加代は地下に転落してしまう。
そこには、ロウソクを持った美和子と、顔が半分病みただれた妹の二人がいた。
二人は「白妖鬼」という仮面を探して、地下室の探索の最中であった。
美和子によると、この「白妖鬼」という仮面は、願いを三つまでかなえてくれる代わりに、面の呪いが当人に乗り移ってしまうのだと言う。
ふとした弾みに、二人はこの仮面を発見するが、その仮面は加代が悪夢で見た仮面であった。
二人は、妹の顔が元通りになるよう仮面に祈る。
すると、顔の皮が剥げて、美和子の妹はもとの顔になるのであった。
翌日、登校途中、加代は敏男にこのことを報告する。
ふと美和子とその妹を見かけた加代と敏男は、二人の話をこっそり立ち聞きする。
美和子は、敏男が自分の恋人になるよう、仮面にお願いしようと話していた…」
「三つの願いを叶える、呪われた仮面」と言うと、杉戸光史先生が言う程、「奇抜」ではありませんが、そこそこ読ませます。
ラストは、意外などんでん返しがありまして、杉戸光史先生らしくて、微笑ましいです。
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸金綴じあり。読み癖あり。汚れ、シミ、水濡れ痕、多々あり。後ろの遊び紙、貸出票の貼り付けあり。
2016年9月17日 ページ作成・執筆