古賀新一「死神の使者」(220円)
「私立探偵、二ノ宮新吾は、友人と共に狩りに出かけ、金色の毛皮をした狸を仕留める。
猟師にその毛皮を見せると、猟師の弟にそれを渡すよう強要される。
彼はその狸を長い間狙っており、新吾は彼にその毛皮を譲る。
チビで奇怪な容貌をした、猟師の弟は、春に別荘を訪れる娘に片思いをしていた。
彼女には忌み嫌われていたが、どうにか気を惹こうと、狸の毛皮で襟巻を作る。
一方、新吾達は、帰宅途中、かみなり族に嫌がらせを受けている二人の娘を見かける。
新吾は彼らに割って入り、かみなり族の隊長格とオートバイで断崖を跳び越す勝負をすることとなる。
新吾はどうにか渡ったが、かみなり族は失敗して転落。
その死体を探していると、落とし穴があり、それは、鍾乳洞につながっていた。
皆で鍾乳洞を探索すると、奥に、鍋島猫騒動の際に竜造寺又一郎(注1)の墓と、碁石と碁盤がある。
かみなり族の連中が囲碁盤を持ち去ろうとすると、竜造寺家の子孫を名乗る老婆がどこからか現れ、この碁盤に触れたものは皆呪い殺されると告げる。
とりあえず、新吾は娘二人を送るが、行き先は、猟師の弟使用人として勤める別荘であった。
その夜、別荘の娘は、襟巻を巻いた状態で、死体となって発見される。
更に、猟師の弟は失踪しており、彼の犯行と思われたが、新吾の友人は碁盤の祟りではないかと怯える。
その祟りであろうか、先日、碁盤に触れた、かみなり族の連中が次々と不審な死を遂げていく。
魔の手は新吾達にも伸びる…犯人は一体誰…?」
「二ノ宮新吾」シリーズの一冊であります。
表紙に「怪奇アクション劇画」と銘打っており、まあ、そう形容できないこともないでしょうが、何と申しましょう…ヘンです。
恐ろしく奇妙なストーリーで、一読しただけではさっぱり意味は掴めないと思います。
突っ込みどころは多々あるのですが、それは野暮ってもの。
この稀有な「weird tale」を、理屈はしばらくの間脇に置いておいて、味わってみたら、如何でしょうか。
・注1
本編によると、鍋島丹後守に囲碁の勝負で殺されたとのこと。
碁石を待った、待てない云々のアレです。
・備考
状態悪し。ビニールカバー貼り付け、また、それによる本体の歪み。糸綴じあり。前後の遊び紙に色鉛筆による落書きあり。前の遊び紙、下部、欠損。p5、色鉛筆により落書き。pp65・66、コマにかかる欠損あり。pp91〜116の間に、コマにかかる切れ等、ひどし。
2017年5月2日 ページ作成・執筆