池川伸治「ミミのお稲荷さん」(220円/1967年5月頃?)
「英子は彼女を呼ぶ声に導かれ、草原で小さな鳥居を拾う。
彼女は鳥居を自分の守り神と思い、家に持ち帰るが、その夜、彼女をまた呼ぶ声が聞こえる。
窓の外に炎が見えると、英子の身体は自然と動き、炎の後を追って、山奥にある鳥居へと向かう。
鳥居のそばには松明を持った老婆がいた。
英子の前で、老婆は「世紀の神主」が現れたと、月に祈りを捧げる。
以来、英子には病人を治癒する力を持つようになる。
次の夜には、老婆に二体の狐像の間に座らさせられ、狐に取り囲まれる幻影を見てから、彼女の力はますます強まる。
だが、そんな彼女に付きまとう青年がいた。
彼は老婆の息子であり、英子にお稲荷に深入りしないよう頼む。
しかし、英子は病人をどんどん治し、お稲荷様を信仰する人は増えていく
青年は英子が狐に支配されると説得しようとするが、時すでに遅く、彼女の命は狐に支配されようとしていた…」
「白い骸」で、お稲荷様をボロクソにけなした池川伸治先生の「アンチ・お稲荷様」テーマの作品です。
また、池川伸治先生の好きな「感応」(相手の感情や性質がこちらに移ること)もバッチリ扱われてます。
まあまあ面白いのですが、タイトルの「ミミ」が誰を指すのかがはっきりしないのが気になります。
ラスト、狐に憑りつかれた英子が信者から「ミミ様」と呼ばれておりますが、それに対する説明は一切ありません。
タイトルだけ先に考えて、後で辻褄を合せるという、いつものパターンなのでしょうか…。
・備考
ビニールカバー貼り付け、また、そのための歪みあり。後ろの遊び紙に店のスタンプあり。
2017年12月17日 ページ作成・執筆