大石まどか「私の血が呼んでいる」(220円)



「S市で代々続いた多田木家は前々から陰気な影が漂っていたが、吾一という男が当主になってから、その度合いが一層強くなる。
 吾一は「蛇狂い」であり、「ノー・スネイク・ノー・ライフ」な生活を送っていた。
 その妻の加代も変わり者で、結婚して十年後、双子の女児(姉の方がマミ、妹がクミ)が生まれる。
 しかし、夫婦は子供が生まれてもさほど喜ばず、変人ぶりは激しくなるばかり。
 ある日、多田木家で火事が起こる。
 この火事で吾一は焼死し、加代はクミを抱いて走り去り行方不明。
 マミは、皮革商で吾一とつながりのあった冬吉によって助け出され、冬吉・久の夫婦に育てられる。
 マミは幼い頃から病弱で、しかも、冬吉の商売もうまくいかず、ある時、女房の久が急死。
 それでも、冬吉はマミのため、山中の一軒家で静かな生活を送ろうとする。
 しかし、マミの病気は悪化する一方で、彼女の身体は妙な吹き出物で徐々に覆われていく。
 ある日、冬吉は活力になれば…と考え、マミに動物の生き血を飲ます。
 彼女は一時的に元気なるも、そのせいで生き血を飲む習慣がつき、生き血の量はどんどんと増えていく。
 だが、ある日、猟に出た冬吉は山犬に瀕死の重傷を負わされる。
 彼はマミに自分が本当の父親でないこと、妹のクミがいることを伝え、息を引き取る。  マミは自分が死ぬ前に妹に一目会いたいと思い、ふらつく身体を杖で支えながら、家を出る。
 途中、父親の仇の山犬を殺すが、その時、自分の身体が活力に満ちていることに気付く。
 しかも、全身に広がっていた吹き出物も消えていた。
 彼女は父親の墓に葬った後、自分の予感を信じ、東京へ向かう。
 その頃、東京では美子という少女がコンサート会場に向かう途中、交通事故に遭い、昏睡状態に陥っていた。
 マミはクミと会うことができるのだろうか…?」

 「別れ離れになって双子が運命の糸に導かれて再会」という話ではあるのですが、大石まどか作品なので、やっぱり、ストーリーが弱いです。
 一応、再会はしているものの、もっと感動的な話にできたのではないでしょうか?
 盛り上がりというものがほとんどないまま、結末を迎えてしまい、読後、ボ〜ゼンです…。
 個人的には、ストーリー云々よりも、マミが動物の生き血を啜るシーンがこの作品の最大の見所です。
 実に鬼気迫る描写で、これさえあれば後はどうでもいい感じです。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。前後の見開きの袖、紙テープで補強。前の遊び紙、切り取り。後ろの見開き、貸出票の剥がし痕と書き込みあり。読み癖が激しく、ボロボロ。痛み・切れ・汚れ等については書き切れず。pp21・22、下部隅に欠損。pp83・84、ページ中央部に欠損。

2024年9月17日 ページ作成・執筆

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