池川伸治「ミイラは泣いている」(220円)
「美知子は、優しい両親とやんちゃな妹に恵まれた、幸せいっぱいの少女。
実の母は、彼女が産まれた時に亡くなっていたが、継母は彼女に実の子のように愛情を注いでくれた。
だが、そんな彼女の幸せに一筋の影が差す。
両親が彼女に隠し事をしているらしく、どうも不審なことばかり。
夜中、美知子のあずかり知らぬ理由で涙を流す母親。
こどもの日、美知子へのプレゼントと同じものがもう一組あったこと。
夏、避暑に出かけた時、浜辺で見つけた、美保子という名前が刺繍されたハンカチ。
更に、そのハンカチを目にすると、両親が顔色を変え、ハンカチを燃やしてしまったこと。
遂には、楽しみにしていた誕生パーティを両親にすっぽかされ、美知子はすっかりいじけてしまう。
両親の秘密を知るべく、美知子が父母の部屋を探すと、乳児の頃の写真が見つかる。
その写真では乳児が二人写っており、美知子は自分が双子だったことを知る。
両親がひた隠しにする、美知子の妹、美保子の秘密とは…?」
「毒薬と三人娘」と同じく、夏川ちさと名義の作品、「母さん死ぬのいやよ」を加筆訂正したものです。
pp1〜3(タイトルページと見出しページ)、p18(見出しページ)、p37(見出しページ)、p53(見出しページ)、p73(見出しページ)、p98(見出しページ)、pp123〜135(フィナーレ)が描き足されているように思います。また、オリジナル本のpp29〜31が削除されてます。(今回はそこまで詳しく見てません。)
オリジナルでは「姉が瀕死の妹に会いに行くと、妹は姉の姿を一目見て死亡」という結末ですが、こちらでは「全身が腐る病気にかかり、余命いくばくもない妹が、健康な双子の姉に向かって呪詛をぶつける」という、「せなことゆ〜たかてヨ〜」な結末に変更されてます。
過去の作品に手を加えてでも、訴えたかったことがあったということなのでしょうか?
まあ、それならそれでかまわないのですが、作品の質を考えれば、全体的にリメイクした方がより良い作品になったように思います。
が、アツい思いを表現することに気を取られて、そんなことに手間暇かけるつもりが毛頭ないところが「池川伸治スピリット」…なのかも…。
・備考
「ミイラは泣いている」はビニールカバー貼り付け、それによる歪み若干あり。糸綴じあり。背表紙、色褪せ。本文、シミや汚れ、非常に多し。pp53・54、下隅に小欠損。後ろの遊び紙にすたんぷ押印。
「母さん死ぬのいやよ」はジャンク本。ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。大きな欠損、三カ所、小さな欠損、二か所あり。
巻末に、さいとうたかを先生がつばめ出版で怪談を描くという広告があります。実際に描かれたかどうかがまだ確認取れてません。
2017年7月4・18日 ページ作成・執筆