松下哲也「美しき夜の来訪者」(1964年11月頃(注1)/200円)

「ある雪国の山奥の離れの家。
 そこの一人娘の美雪は、湖で白鳥と戯れるのが大好き。その中でも、クインという名の白鳥と仲が良かった。
 しかし、腕が優れた猟師であるが、飲んだくれの美雪の父は、美雪が白鳥と遊ぶことを固く禁じる。
 父親は無性に白鳥を嫌っていたが、誰にもその理由はわからなかった。
 美雪は禁を破って、たびたび湖に行く。その姿はすっかり白鳥達の中にとけこんでいた。
 ある夜、父親が小屋に白鳥を閉じ込めていることを知った美雪は、父親に抗議。
 美雪の抗議に合わせるように、白鳥達も父親を襲撃、その後、美雪と白鳥達は湖へと向かう。
 猛り狂った父親は、猟銃を片手に美雪達の後を追い、ボス格の白鳥を撃つが、そこに倒れていたのは、美雪であった。
 幸い怪我は大したことがなかったものの、床に伏せっている間、美雪はある夢を見る。
 その夢の中、美雪は、天女のように美しい女性から、彼女が美雪の本当の母親であることを告げられたのであった。
 そして、その時、寝室の外にはクインの姿があった…」

 民話というか、メルヘンというか、その手の要素が濃厚ですが、どこか分裂的。
 最終的には、「白鳥の呪いとその復讐」ということになりますので、やっぱりスリラーなのでしょうか?
 個人的には、幸薄そうな母親がいいです。美人なのに、とことん存在感のないところ…グッときます!!

・注1
 巻末に「第二回テープレコーダー抽せんクイズ」の記事があります。
 その締め切りが「昭和39年11月30日」ですので、本書の発行日を「1964年11月頃」と推測します。

・備考
 ビニールカバー貼り付け、また、それによる表紙の歪みあり。前後の遊び紙の部分に補強あり。最終ページに貸出票貼り付け。

平成27年8月3日 ページ作成・執筆

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