さがみゆき「死霊少女の瞳」(220円/1965年4月30日完成)



「角膜移植手術が成功し、再び視力を取り戻した理紗。
 包帯を取った日、理紗の目に、手術を担当した眼科医が血まみれの姿で映り、その医師が自動車事故で死ぬこともわかる。
 錯覚と思っていたが、事実、その通りとなり、理紗は、この眼が人の死や不幸を透視できることを知る。
 理紗は病院を経営する父母に、角膜の以前の持ち主について問うが、父母は気まずそうに沈黙するばかり。
 人の死や不幸を予知しながらも、何もできないことに理紗は徐々に追い詰められていく。
 理紗に移植された眼にまつわる秘密とは…?」

 時代を考慮に入れたら、佳作でありましょう。よくある話ながら、かなり面白いです。
 ストーリーもいいのですが、さりげなく織り込まれる、当時の風俗描写も味があります。
「007 ゴールド・フィンガー」(1964年)(注1)の映画看板や、女友達が熱烈にファンである「東郷輝彦」といった描写が、時代を感じさせます。
 また、本編後の「チャオ No3」には、野尻湖に行った時のさがみゆき先生の写真が載っております。
 こんなおどろおどろしいマンガの後で、さがみゆき先生の笑顔がステキな写真を見たら、あまりの落差に読者はさぞかしのけぞったことでありましょう。
 また、身辺雑記のような文章も率直かつ朗らかで、寒い季節の「ホットレモン」のように、心がほかほかしてきます。
 手相を占ってもらったら、104歳以上も長生きできると言われた旨、書かれておりますので、是非長生きして、マンガを描いていって欲しいものであります!!

・注1
 未見ではありますが、ハロルド坂田扮する「オッドジョブ」で有名ですね。

・備考
 状態悪し。ビニールカバー下半分貼り付け、剥がした上半分のカバーは痛み激しい。背表紙上部、欠損あり。糸綴じあり。前の遊び紙欠損。読み癖ひどし。目立つシミや汚れ、多数。pp13〜18、コマの外にカッターで三度ぐらい切りつけた痕あり。pp34・35、コマの中で何かが挟まって、剥がれた痕あり。pp45・46、pp69〜78、コマの中に切ったような破れあり。pp99〜101、わずかにコマにかかる細長い欠損あり。pp125〜126、コマにかかる裂けあり。後ろの方のページに水濡れ痕あり。pp133〜136、中央に折れ痕あり。巻末に貸出票の貼り付けあり。

平成27年11月13日の金曜日 ページ作成・執筆

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