西たけろう「愛と死の伝説」(220円)

「右足が義足の一条奈津江は、ラメスのことで頭がいっぱい。
 ラメスとの出会いは、父親の石油会社があるパタゴニア(注1)から帰りの飛行機の中であった。
 奈津江は、人がまばらな機中で、数百年前の洋服を着た少年が、後ろの座席に座っているのを目にする。
 少年の姿は目を離した隙に消え、奈津江の他に少年を見た者はいない。
 奈津江は錯覚かと疑うが、日本に帰国後、命の危機を救ってくれたのが、その少年であった。
 ラメスと名乗る少年は奈津江に「私があなたと会うのは運命の神のおつげ」だと言い、奈津江は少年を屋敷に連れ帰る。
 一月の間に、ラメスは少年から青年へと成長。
 不思議な能力を持つラメスは、奈津江に降りかかる災難を阻止し、また、未来を予知することもできた。
 奈津江はラメスと以前どこかで会ったような気がしてならず、次第にラメスに惹かれていく。
 一方、水面下である恐ろしい陰謀が着々と進行していた。
 ラメスの正体とは…?
 そして、パタゴニアに伝わる、数百年前に流れが止まった、美しい氷河にまつわる伝説が蘇える…」

 粗い部分は多々あるものの、力作です。
 意外とロマンチックな作風で、これも西たけろう先生の一つの面だったのかもしれません。
 貸本漫画家故、時間的・体力的な制約はかなりきつかったものと思われますが、心を込めて描いたことが伝わってきます。

・注1
 パタゴニアとは、南米大陸の南端部。アルゼンチンとチリの南部のマゼラン海峡に至るまでの地方。

・備考
 状態悪し。ボロい。ビニールカバー剥がし痕あり。カバー痛み及び貼り付けあり。糸綴じあり。前の遊び紙に折れ痕、欠損あり。前の遊び紙がタイトル・ページに貼り付き、タイトル・ページに剥げあり。読み癖ひどし。シミ・汚れ、多々あり。pp23・24、下部隅にコマにかかる小欠損あり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2016年12月5日 ページ作成・執筆

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