池川伸治「奇人の舘」(200円/1964年5月10日頃執筆)



「高山英子はある日、帰宅してから、様子がおかしい。
 部屋に閉じこもり、寝ている間は、うなされている。
 右手には厚く包帯を巻き、家族が心配しても、決して見せようとはしない。
 更に、家の周囲では、右手のない青年がうろつく姿が目撃される。
 家族は彼女の食事に睡眠薬を入れ、彼女が寝入った隙に、包帯を取る。
 包帯の下から現れたのは、彼女の右手にしっかりと食い込む、半ばミイラ化した誰かの右手であった。
 家族はよってたかって、その右手を外そうとするが、ペンチを使っても、外すことができない。
 また、この右手について、いくら尋ねても、英子は「知らない」の一点張り。
 そんな時、医者を名乗る人物が高山家を訪れる。
 しかし、この医者に、英子と母親を誘拐されてしまい…。
 英子の右手に食い込む右手は誰のものなのだろうか…?」

 まとまりが良く、なかなか面白いです。
 「顔のない眼」のバリエーションと言ってもいいのではないでしょうか。
 あと、モーパッサン「手」の影響があると思います。

・備考
 ビニール・カバー貼り付け。シミ・汚れ・切れ、小剥げ、非常に多し。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2021年12月18日 ページ作成・執筆

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