松下哲也「青年の華」(1967年頃?/220円)
収録作品
・「第一話 英雄」(注1)
「真っ黒な月が浮かぶ彼方から、馬に乗って駆けてきた、真っ黒な奴。
青年達の前に現れては、大金をぽんと渡し、金持ちへの糸口を与えるのだった。
若い人々は彼を「英雄」と呼び、彼が自分達の頼みを聞いてくれることを願う。
そして、「英雄」は不遇をかこつ青年達の前に現れ、その願いを叶えていく…」
・「第二話 3匹の華の人生」
「凸凹村に同じ年に産まれた三人。
村長の一人息子で、暴れ者の腕白坊主、雷太。
貧しい農夫に拾われて、育てられた赤柿。
村一番の金持ちの家に産まれた、のんき者の丸伝。
高校を卒業して、三人は同じ造船会社に入るが、社長の娘に恋してしまう。
求婚する三人は、社長に、自らの才能を示すものを提出しようとするのだが…」
・「第三話 木刀弾」
「亡国の徒を滅ぼすために、木刀一本で戦う、隻眼の青年。
彼の血みどろの戦いの行く末は…」
イヌダハジメさんの「イヌノキュウカク」内の「暗闇漫画館」でも紹介された怪作です。
短編が三つ収録されておりまして、「青年の夢」というコンセプトをもとに描かれたようなのですが、何故に斯様なキテレツなマンガになってしまったのか、謎であります。
この作品集でのベストは、木刀による殺戮を描いた「木刀弾」でしょう。
さっぱりワケのわからない内容ながら、松下哲也先生の「日本を滅ぼす奴らは皆殺し」というメッセージがガンガン伝わってきます。
対話の入り込む余地のない、この「問答無用」な態度が、学生運動盛んなりし当時の空気を如実に伝えているのかもしれません。
ともあれ、学生運動の顛末を知っている私には、共感を覚えることは無理ですが…。
・注1
この「英雄」のキャラは、他の単行本にも顔を出しております。
「青年悪党連」(220円/哲也スリラールーム・29)
「ファイトマンの単車野郎」(220円/青年ファイトマンシリーズ1)
他にもあるのかもしれませんが、不明です。
・備考
ビニール・カバー貼り付け。本体、鋲留め。巻末に、貸出票を剥がした痕あり、また、鉛筆による数字の落書きあり。
平成27年9月6日 ページ作成・執筆