松下哲也「ママの手は盗まれた」(220円)
「女流小説家の織原秋子と一人娘の真理亜。
二人が外出中、急に車が二人に突っ込んできて、そのドサクサに紛れ、真理亜は車で連れ去られてしまう。
真理亜が連れてこられたのは、あるマンションの一室。
その部屋は、男子高校生、浩の部屋であった。
浩は受験勉強に追われ、そのストレスを解消するため、凶行に手を染めたのだった。
彼にナイフで脅され、真理亜は、誘拐される時に浩が偶然に持ち帰った、真理亜の母親の左手の義手を抱きしめ、震え戦く。
一方、真理亜の母は浩の要求どおり、金を用意して、指定された電車に乗り込む…」
「吉展ちゃん誘拐事件」と黒澤明監督「天国と地獄」にインスパイアされた作品でしょうか。
誘拐事件のストーリーに、無理やりにモーパッサンの「手」を思わせる「義手」の要素を捩じ込んでおります。
そのせいか、あまりスッキリとしない作品です。
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。冒頭の遊び紙と1・2ページが糸綴じ補強による折れ。全体的にシミ多し。後ろの遊び紙に貸出表の剥がし痕あり。
平成27年7月3日 ページ作成・執筆