関すすむ「他人は私を鬼女と呼ぶ」(220円)
「山間にあるダム公園にて狼による被害が続出する。
狼達を率いていたのは、狼に育てられた少女であった。
警察犬では歯が立たず、警察は狼を毒殺する計画を立てる。
計画はうまく当たり、狼少女は捕らえられ、彼女の育ての親である母狼は死んでしまう。
狼少女は「あけみ」と名付けられ、孤児院に預けられる。
先生方の辛抱強い対応により、当初は野生動物同然だったあけみに徐々に人間らしさが備わっていく。
そんなあけみの運命を変える出来事が二つ起こる。
一つは、動物園で父狼と再会したこと。
もう一つは、自分の出生について知ったことであった。
実は、あけみの家族は何らかの理由で一家心中をしており、土砂崩れで墓から棺が浮き出した時、狼が偶然に生き返ったあけみを連れ去ったのである。
あけみは自分の家族を無理心中に追いやった者達への復讐を決意。
夜中の動物園に忍び込み、飼育員の喉笛を喰いちぎり、父狼達を檻から解放する。
そして、他の動物達も檻から逃がし、混乱しているところを、狼達と共に動物園から脱出する。
あけみは、唯一身に付けていた手紙を頼りに、復讐の相手を探すのだが…」
タイトルでは「鬼女」となっておりますが、正確に表現すると「狼少女」です。
巻頭のイラスト(上中央の画像を参照のこと)で「女版ターザン」を想像すると、猛烈にしっぺ返しを喰らいます。
この「狼少女」、非常に凶暴で、野生に返ると、瞳孔が収縮、問答無用で喉笛に喰らいついてくるという、野生そのもののキャラです。(下の画像を参照のこと)
そんな狼少女の復讐譚…と聞けば、血が騒ぎますが、残念ながら、イマイチなんだな〜。
というのも、狼少女の復讐の相手は皆、善人ばかりで、拍子抜けした狼少女は結局、山に帰るという、感動的なのか消化不良なのか、よくわからない結末となっております。
個人的には、あれもこれもと狙い過ぎて、焦点がぶれまくってしまった印象を受けました。
ただ、テーマの一つとして、「エコロジー」を取り入れているところはちょっぴり感心しました。
・備考
カバー貼り付け。ビニールカバー剥がし痕あり。糸綴じあり。pp18・19、異物を挟んだための小剥がれあり。幾つか目立つシミあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2017年3月14日 執筆・ページ作成