さがみゆき「あなたも悪魔になれる」(220円)
「撮影中に謎の失踪と遂げた、映画の大スター、三条由加子。
失踪原因は皆目わからず、全く手がかりがつかめない。
ある嵐の夜、三条由加子の別荘の屋敷にベルの音が鳴り響く。
その夜は独りだった、三条由加子の双子の妹、利加子は姉が帰ってきたと思い、玄関に出るが、誰もいない。
急に怖くなり、寝室に戻ると、そこには姉の衣装が着せられた、等身大の人形が立っていた。
利加子はこの気味悪い人形を部屋から出そうとするが、意外と重たい。
しかも、人形から血が流れ出ており、利加子は気を失ってしまう。
翌日、別荘に帰ってきた、由加子・利加子の母親と、由加子の恋人、伸男が人形を壊すと、中から由加子の死体が出てくる。
由加子の死体は、顔には硫酸がかけられ、それはひどいものであった。
一体、誰の仕業なのであろうか?
そして、姉の死を嘆き悲しむ利加子を遠くから窺う男が一人…」
時代を考慮に入れますと、佳作でありましょう。
内容的には、破綻なくまとまったサスペンス・ミステリーなのでありますが、後半、真相を知った利加子の描写がなかなかに読み応えがあります。
ヒバリ・ヒット・コミックスの「あざ笑う恐怖」@Aに渡って、復刻されており、読むことはそんなに難しいことではありません。
さがみゆき先生の貸本時代のマンガに興味を持たれた方は読んでみて、損ではないと思います。
ちなみに、貸本では、相変わらず読者ページが味わいに満ち溢れております。
山谷ルミ子先生とお茶した話とか、読者に誕生日を問われて、教えたりしております。
う〜ん、だったらもうあんなお年(秘密)なのですね。
買いそびれてしまったのですが、以前、「恐怖の快楽」か何かで、さがみゆき先生のマンガが載っておりました。
できれば、体力の範囲内で、無理しないよう、マンガを描いていって欲しいものです。
また、怪奇マンガが徐々に盛り上がっている(ような気がする…かもしれない)今、再評価されることを祈っております。
・備考
ビニールカバー貼り付け。pp24〜31、44〜46、59〜62、目立つシミや汚れあり。pp75〜136、下部にコマにかからない水濡れの痕あり。pp79〜82、折れあとあり。巻末に貸出票の剥がし痕と数字のスタンプあり。
2015年11月19日 ページ作成・執筆