「幽霊G」(150円)
収録作品
・いばら美喜「港町」
「港に降り立った船員の青年は、一人の男が射殺される場面に遭遇する。
射殺した犯人は、額に穴を開けた幽霊だった。
幽霊は青年に、自分は殺人事件を目撃したために殺されたと説明する。
そして、そこに死んでいるのは、自分を射殺した殺し屋だと話す。
幽霊は、殺人犯人を自白させるため、自分のもとに連れてくるよう、青年に頼むのだが…」
「怪談・66」(貸本/つばめ出版)にて再録。
唐澤俊一氏・編「カルトホラー漫画秘宝館 みみずの巻」にて復刻されております。
・清水良「未決囚の死」
「東京拘置所の独居房の一つに、銀座の宝石商殺しの容疑者、川本が収容されていた。
彼は余命幾ばくもなかったため、病気の妹の面倒を看ると言う約束で、豪田組に手を貸したのである。
だが、彼は知り合いの新聞記者から、妹が独り淋しく病死したことを知らされる。
だまされたことを知った彼は、幽霊となり、豪田組へと出向く…」
・山下よしお「紅い椿はささやいた」
「結核のために長期療養を余儀なくされている青年、良吉。
あまりの退屈さに、彼が窓から見える椿をぼんやり眺めていると、彼の部屋を見知らぬ娘が見舞いに訪れる。
彼女は八重子という名で、彼のことを以前から知っているらしい。
その日以来、彼が窓外の椿を眺めると、彼女は彼を訪ねてくるようになる。
ある日、彼女は彼を外出に誘い、丘の上に彼女の家に行く。
そこは大きな西洋館で、彼女は一人暮らしをしていた。
二人が楽しく過ごしていたが、窓の外に僧侶の姿を見ると、八重子は顔色を変えて、隠れるように言う。
その際に良吉は意識が遠くなり、気が付くと、病院のベッドであった。
彼は医者や看護婦に八重子のことを話すが、誰も彼女のことを知らない。
八重子の正体とは…?」
・多摩海人「赤い湖」
「十三年もの間、五月二十一日になると、水が血の色に変わり、通りがかる人を吸い込んでしまう湖。
ある青年が興味を持ち、当日、湖畔に赴く。
噂通り、湖に吸い込まれてしまった青年は、湖の底で、夫婦の亡霊と出会う。
十三年前のこの日、夫婦は、従兄の熊田に射殺され、この湖に沈められた。
その恨みを晴らすべく、この日になると、湖を血の色に染め、熊田に復讐するガッツのある男を求めて、湖に吸い込んでいたのである。
青年は、夫婦の頼みを聞き、熊田に自首するよう勧めに行くのだが…」
多摩海人先生らしい「フヌケ〜」な作品で、味わい深いです。
特に、湖に吸い込まれるシーンの「スポッ」という擬音語のマヌケさは特筆に値すると思います。
・備考
状態非常に悪し。カバー欠。糸綴じあり。pp1・2、9・10、35・36、43・44、59・60、下部に大きな裂け。pp15・16、99・100、大きな欠損。pp65・66、コマにかかる欠損。その他にも、汚れ、痛み、裂け、欠損、多数あり。
2018年5月31日 ページ作成・執筆