高階良子「ドクターGの島」
(1978年8月5日第1刷・1986年6月13日第29刷発行)

 江戸川乱歩の傑作長編「孤島の鬼」は、長田ノオト先生をはじめ、何度か漫画化されておりますが、個人的なベストは高階良子先生のバージョンです。
 もしかしたら、「孤島の鬼」を最初にコミカライズした作品かもしれません。
 ただし、この「ドクターGの島」は「なかよし」連載(1974年4月号〜8月号)されたものですので、アダルトな原作を大胆に改変しております。
 まず、同性愛の要素は少女漫画雑誌ではアウトですので、主人公を美青年から、垂れ目の美少女キャラに変更。
 その代わりと言ってはなんですが、原作では主人公にホモホモな熱情を傾ける青年医師を、「地獄でメスがひかる」ばりのニヒルでクールなマッド・サイエンティストにしちゃってます。
 んで、タイトルから想像される通り、この作品はH・G・ウェルズ「ドクター・モローの島」の影響もあるようで、この青年医師は合体人間をつくり出すことに情熱を燃やすという設定。
 おまけに、島はフリークスだらけ。
 「なかよし」で連載したなんて信じられない!!(激賞してます)
 でも、これはこれでありでして、かなり面白いです。
 原作をひん曲げて、自分好みの作品に仕立て上げる、高階良子先生の豪腕にはほとほと感心させられます。
 ですが、やはり、江戸川乱歩の作品と相性が良かったことが第一の条件でしょう。
 原作に対する理解と愛がなければ、ここまでのものは描けなかったと思います。

 「ドクターGの島」は、内容のためか、あまり復刻には恵まれていない模様。
 ぶんか社のホラーMコミック文庫で出ておりますが、「不具者」という言葉が別の言葉に変えられております。

2018年9月14日 ページ作成・執筆

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