美内すずえ「妖鬼妃伝」(1982年4月5日第1刷・1995年7月5日第23刷発行)

「秋本つばさは、親友の山口達子と共に、地下鉄で、帝国堂デパートを訪れる。
 買い物のついでに、二人は日本人形展を覗く。
 様々な人形の中、二人は人形の御殿に目を奪われる。
 それは、寝殿造りの御殿に衣冠束帯や十二単の平安時代の男女の人形が数多く配置されたものであり、人形はどれも小さい割に、妙にリアルであった。
 二人が帰ろうとした時、達子は人形展に忘れ物をしたとエレベーターに戻り、そのまま、消息を絶つ。
 誘拐かと思われたが、何も手掛かりはなく、五日後の早朝、デパートに通じる地下鉄の駅の二つ先の駅で轢死する。
 達子の死に疑問を抱いた、つばさは、友人の久美と調査を開始。
 その際に、霊能力者の家系の末裔で盲目の青年、九曜久秀と知り合う。
 夏休みを利用して、つばさと久美は閉店後のデパートに忍び込む。
 真夜中、二人は、人形展の人形と同じ装束をまとった男女が行進するのを目にして、その後をつける。
 彼らは地下鉄に乗り込み、電車は、路線図には存在しないはずの「宮之内」という駅にとまる。
 そこは、日本を陰で操る妖鬼妃一門の本拠地であった。
 そして、秘密を知った二人を、妖鬼妃の呪いが襲う。
 つばさと九曜久秀は妖鬼妃に立ち向かうのだが…」
(「なかよし」1981年9月〜11月掲載)

 人形ホラーのズバリ、名作です。
 人をじかに襲うアグレッシブさはありませんが、人形がいつの間にか向きを変えていたり、窓の外から部屋を覗いている描写は実に気持ちが悪いです。
 ただ、長編のせいか、若干、ムリヤリかつデキスギな展開が目に付く気がします。
 それでも、ここまでストーリーに引き込む手腕は凄い!!
 当時の「なかよし」の読者はさぞかし雛人形にトラウマを持ったことでありましょう…。

 宝島社の「このマンガがすごい!comics」にて、「黒百合の系図」等と併せて、復刻されておりますので、興味を持たれた方は読んでいただけると幸いです。

2018年4月10・11日 ページ作成・執筆

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