片岡かつよし「血染めの絵を燃やせ」(1975年1月25日発行)


「ハイキングの途中、道に迷った勝也とさくら。
 深い霧の中、二人は山中の洋館に辿り着く。
 そこには、美しく謎めいた少女が、老女中とセムシ男の使用人と共に、住んでいた。
 勝也とさくらは快く洋館に宿泊させてもらうが、洋館の主人の少女には恐ろしい秘密があった。
 心臓病により余命いくばくもないことを知った少女は、生命を得るために、悪魔と取引をしていたのである。
 生命を得ることと引き換えに、悪魔をこの世に復活させるべく、少女は、七人の女性の心臓から新鮮な血を取って、悪魔の絵を描こうとする。
 そして、その七人目の犠牲者に当たるのが、さくらであった。
 勝也はさくらの命を救い出そうと奮闘する。
 勝也とさくらの愛の力で悪魔の復活を阻止できるのだろうか…?」

 「LOVE」で怨霊を退散させていたた「怪談どくろ姫」に続いての片岡かつよし先生の二作目は、「LOVE」で悪魔に立ち向かうマンガであります。
 多少こなれてきたのか、絵・内容共に一作目よりも読みやすくなっており、展開もスピーディーで面白いです。
 また、グロ描写も前作より遥かにパワーアップ。
 大ゴマを多用(乱用?)して、「オ〜ザッパ、ザッパ」(注1)と見せつけるところは、なかなかに爽快…かも。
 そんなグロ描写の中、主人公のカップルは気恥ずかしいまでに高尚な愛の道を突き進み、やはり独特な味わいを持つマンガではあります。

 ちなみに、ひばり書房黒枠期単行本の中心で愛を叫んだ片岡かつよし先生は、後に、「純愛」とは無縁のエロマンガの道に進んでいっております。
 こんなマンガ(画像参照@AB/子供は見ちゃダメ)(注2)を描いていたことを、私は決して忘れませんよ、片岡かつよし先生!!

・注1
 「幻色怪奇漫画図鑑九十九殺」(ソフトマジック/2002年10月4日初版発行)にて、大西祥平氏はこのマンガの「ザックリ感」(p24)について述べております。
 片岡つなよし先生の「竹を割ったよう」に男らしく豪放な筆致を巧みに表現しており、妙に感心させられました。
 ただ、個人的には勢いはあるけども画力がちっとも追いついてない印象があり、「大雑把」な絵柄だと考えております。
 まあ、そこがいいと言う人もいるでしょうから、蓼食う虫も好き好きってことでしょう。

・注2
 「女子大くの一 風魔マラくずし」は「コミックセルフ5月号増刊」(セルフ出版社/1980年5月15日発行)収録。
 「花の応援団」ちっくな連中を相手に、服部半蔵の血を引く女子大生、服部半子が戦うという、ぶっちゃけショ〜もないマンガです。
 このコミックセルフは、故・池川伸治先生率いた太陽プロの方々がメインで執筆されており、杉戸光史先生、宮本ひかる先生、松下哲也先生は常連のようです。
 また、小野ヤスヒロという漫画家は、谷ゆきお先生の別のペンネームでして、これもまた太陽プロつながりなのでありましょうか?

・備考
 pp40〜43、上部のコマ外にシミの痕あり。最終ページの上隅に鉛筆による書き込みあり。

2016年12月27日 ページ作成・執筆

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