森由岐子「私は地獄の島を見た夜」(1975年7月15日発行)



「ヨッコとボーイフレンドの堀江久人はボートで沖に出て、嵐に遭遇、海に投げ出される。
 二人は見知らぬ島に流れ着くが、無人島にしては様子がおかしい。
 道らしきものがあり、辿っていくうちに、石造りの城址のような建物があった。
 建物に、美しい女性を見かけるが、彼女はすぐに姿を消す。
 その後、二人がいくら探しても、人が住む気配はあっても、住人を目にすることはない。
 だが、二人のために食べ物が用意してあり、お腹の膨れた二人は睡魔に襲われる。
 ふと、久人が目覚めると、顔が醜く崩れた女がそばにいた。
 その女はヨッコを海岸に追い詰め、突き落とそうとしたその時、身体中が崩れた人々が現れ、女を制止し、共に立ち去る。
 ヨッコと久人は島からの脱出を図るが、久人に一目惚れした、島の女の妨害にあう。
 二人は城址で出会った、美しい女性にかくまわれるが、彼女と醜い女は姉妹であった。
 この島に住む人々の秘密とは…?
 そして、ヨッコと久人の運命は…?」

 私の大好きな「孤島もの」です。
 様々な怪奇マンガで孤島は舞台になっておりますが、森由岐子先生のものは珍しいです。
 更に、ネタばれしちゃうと、ラストになって、これまた私の大好きな「マッド・サイエンティストもの」であることも判明。
 サディスティックな人体実験描写もあるし、「マッド・サイエンティスト」の要素を充実させていたら、文句なしの傑作になったと、私は考えております。
 んにしても、森由岐子先生の男性キャラはヘタレで定評がありますが、この作品でのラストの逃亡シーンで「フニャ」には腰が砕けました。
 人体実験の材料にされたので仕方がないと言えば、仕方がないのですが、もうちょっとカッコよく描けなかったものなのでしょうか?
 ともあれ、森由岐子先生にしては異色の作風で、隠れた佳作だと思います。

 ヒバリ・ヒット・コミックスにて再刊されております。
 その際、「精神病院」や「狂人」等のセンシティブな言葉が差し替えられたり、削除されたりしております。(詳細はヒバリ・ヒット・コミックス版のページを参照のこと)

・備考
 ビニールカバー貼り付け。ページ後半、下隅に湿気による歪みあり。。

2018年9月17日 ページ作成・執筆
2022年10月2日 加筆訂正

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