森由岐子「死美女がまねく夜」(1973年1月31日発行)

「繭子は、人気歌手の南條光の熱狂的なファン。
 そんな彼女は、ある夜、南條光の運転する自動車にはねられてしまう。
 崖から転落し、顔にひどい傷を負った繭子は、こんなかたちではあったが、憧れの南條光と会えるようになる。
 しかし、顔の傷跡は想像以上にひどく、ある日、醜い傷跡を南條光に見られ、ショックのあまり、南條光は二度と繭子を見舞わなくなる。
 絶望した繭子は、もとの美しさを取り戻すために、死を決意し、病院の屋上から飛び降り自殺をする。
 だが、南條光がショックを受けないよう、このニュースはマネージャー達によって、彼には秘密とされるのであった。
 ある雨の夜、南條光が車を運転していると、彼に向かって手を振る、若く美しい女性が視界に入る。
 女性を車で、自身のマンションに連れ込むと、光はこの女性の美しさに魅了させられる。
 光は、まゆこと名乗る女性と一晩を過ごすが、朝にはまゆこの姿はなかった。
 以来、光が帰宅すると、まゆこはマンションに姿を現すようになる。
 しかし、南條光は急激に衰弱していき、コンサートの最中に卒倒。
 光が亡霊にとり憑かれていることに気付いた、光の恋人の立花さゆりは何とか光を救おうとするのだが…」

 唐沢俊一&ソルボンヌK子「森由岐子の世界」(白夜書房)にて丸ごと一冊復刻されております。
 方法には問題があるかもしれませんが、こういう作品を見出して、多くの人の目に触れるようにした点は、もっと評価されてもいいと思います。

 詳しいことはわかりませんが、1970年代初頭に単行本に描き下ろされたものではないでしょうか?
 貸本よりも丁寧に描かれており、この時期の単行本はどれも脂が乗っているように思います。
 また、他の作品と同様、男の主人公はヘタレもヘタレですが、気丈なサブキャラ、立花さゆりがそこをカバー…しきれない程、ヘタレな南條光が味と言えば味であります。
 でも、このマンガの一番の魅力は、ヘタレな南條光と、ストーカー気質の幽霊の両方に振り回される、影のヒロイン、立花さゆりでありましょう。
 彼女のその場限りの対応の数々を眺めるだけでも、かなり楽しめます。

・備考
 ジャンク。貸本使用により、落書きと破損の嵐。

2016年6月15日 ページ作成・執筆

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