さがみゆき「怪談雨月物語」(1976年1月30日発行)

「吉備の国、庭妹(にいせ)に伝わる話。
 由緒ある家柄の香央(かさだ)家の娘、磯良と、その地の富豪、井沢家の息子、正太郎の結婚の吉凶が、吉備津神社で占われる。
 占いの結果は大凶で、神主は絶対に結婚はせぬようにと告げる。
 しかし、正太郎はどうしても磯良が欲しく、磯良も正太郎に一目惚れをしていたため、結局は結婚する運びとなる。
 磯良を嫁に貰って、正太郎は真面目になるかと思いきや、根が自由奔放な遊び人。
 一年も経たぬうちに、昔なじみの女、袖とよりを戻し、家にはほとんどよりつかなくなる。
 そんな男でも尽くせば、いつかは報われると信じて、磯良は自分の持参金や着物までも正太郎と愛人が住む家に持ち運ぶ。
 正太郎の父親は、これを知って、怒り狂い、正太郎を屋敷の座敷牢へと閉じ込める。
 だが、正太郎は磯良に改心すると見せかけて、親の金を持って、袖と駆け落ちをする。
 磯良は、正太郎に捨てられたショックで瀕死となり、正太郎の両親に彼を取り戻すと告げて、亡くなる。
 夜叉となった磯良は、手始めに、正太郎の愛人の袖を惨殺。
 自分の命も危ういことを知った正太郎は、ある僧に助けを求めるが…」

 ヒバリ・ヒット・コミックスにて「恨み女の呪いぐし」のタイトルで刊行されており、読むのは容易です。
 黒枠単行本は入手が遅れ、先にヒバリ・ヒット・コミックス版のページを作成しておりますので、内容に関しては、そちらのページでどうぞ。
 今回、「怪談雨月物語」を読んで、印象に残ったのは、巻末の読者のページのテンションの高さ。
 おどろおどろしく、陰惨な本編と違い、さがみゆき先生のステキなお人柄が炸裂してます!
 読者のイラスト大会で、一位の人だけしか賞品をもらえないと他の人が気の毒だから、三位の人までプレゼントをすると太っ腹だったり(賞品はレコード)、ひばり書房主催のボーリング大会で一位になったけど、浮かれ過ぎて、タクシーに賞品を忘れてきたりと、微笑ましいです。
 また、チビっ子達のおどろおどろしいイラストも味わい深く、更に、当時のアシスタントだった亜奈田もあ先生のページもあって、実に盛りだくさん。
 ひばり書房の黒枠単行本でここまで読者コーナーが充実していたのは、さがみゆき先生だけだったのではないでしょうか?
 これもやはり、人柄のなせるわざだと思います。

・備考
 スリップ付。

2018年5月19日 ページ作成・執筆

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