菅島茂「のろいの地下室」(小学四年生8月号付録/1968年8月1日発行)
「リエ子は、友人達とかくれんぼの最中、犬塚という祠に近付く。
そこは犬のお墓で、近づかないよう母親に注意されていた。
祠の中を覗くと、地下に降りる階段があり、階下でリエ子は、男の顔をした人面犬と出会う。
実は、その人面犬は、彼女の双子の兄、タケシであった。
リエ子とタケシは産まれた時、一つの身体に二つの頭を持つ奇形児であった。
このままでは育たないため、二つの頭のうち、タケシの頭を取り除く手術が行われる。
両親の願いにより、タケシの頭は犬の身体に移植され、以来、ひそかに地下室で育てられてきたのであった。
しかし、正常な身体を持つリエ子に、タケシは嫉妬と憎悪を燃やし、地下室から脱走。
我が身を呪う彼はリエ子を虎視眈々とつけ狙う…」
とても小学生向け雑誌に描かれたとは思えない、フリークス趣味炸裂の作品です。
双頭の赤ちゃんの片方の首を犬に移植するなんて内容、普通の漫画雑誌ではまずお目にかかれないのでは?
ただし、人面犬な少年の凶行が描かれるのかと思いきや、人面犬な少年の悲哀に重点が置かれており、ちょっぴりセンチな読後感です。
また、約60ページぐらいの小品ですので、内容が盛り上がる前に、クライマックスを迎えてしまうことも残念…。(もっと練り込んでほしかった…。)
ちなみに、今やすっかり都市伝説として定着した「人面犬」を扱った、最初のマンガ(の一つ)なのではないか?と個人的に考えております。
キクタヒロシ氏の「昭和の怖い漫画」(彩図社)にて、トップ・バッターで紹介されておりますので、詳細をお知りになりたい方は参考にされてください。
また、2021年のゴールデンウィーク中に開催された大まん祭で、「人間と怪物の間」とのカップリングで復刻されました。
その付録ペーパーによると、「のろいの地下室」は、東京漫画出版社で予告を出されながらも、描かれなかった「双頭の少女」が元になったとのことです。
この付録本には、故・関谷ひさし先生の代表作の一つ「ストップ!にいちゃん」の「かかしプレーの巻」が併録されております。
私は当時の漫画の知識は乏しいので、内容紹介は割愛させていただきます。
・備考
pp12・13(ストップ!にいちゃん)、下のコマ外にご飯粒が貼りついて、剥げ。
2018年8月14日 ページ作成・執筆
2021年8月1日 加筆訂正