白蓮華「私を引き裂く呪いの死霊」(1985年11月15日第1刷発行)
「竜国絵美は白鳥学園の女子生徒。
同じ学園の岡剣二とは、剣二の両親が海外に出張のため、同じ屋根の下に暮らしていた。
ある日、担任の水木レイカが竜国家に家庭訪問に訪れる。
ちょうど、考古学者で有名な、絵美の父が帰っており、レイカとの間で話がはずむ。
絵美の父は、飛鳥にて発掘された玉を持ち帰っており、書斎で彼女にそれを見せる。
これは聖徳太子と関係があるようなのだが、同梱されていた書物は梵語(サンスクリット語)で書かれており、詳しいことはまだわからない。
絵美の父が席を外した時、レイカは玉を手に取ってみる。
ちょうど落雷があり、絵美と剣二が書斎に駆け付けると、レイカの顔が一瞬、別人の顔に見える。
その夜、絵美と剣二は書斎でフードをかぶった、謎の女に襲われる。
以来、絵美は、謎の女を毎晩、夢で見るようになり、また、身の危険にもさらされる。
その頃、絵美の父は、梵語の書物を解読していくにつれて、恐ろしい事実を知る。
昔、仏教を崇拝している聖徳太子と、日本古来の神を崇拝する物部尾輿は対立していた。
物部尾輿には、鬼精歯(きせいし)という、神通力を持つ巫女がついており、彼女は呪いによって、疫病を流行らせ、仏教が原因だと信じ込ませようとする。
そのために、対立は本格化し、物部尾輿は争いに敗れ、鬼精歯も自決。
だが、鬼精歯の怨霊は数々の災いをなし、遂には、インド出身の比丘尼(びくに)によって玉に封印されたのであった。
そのことを聞かされた剣二は、絵美を守ることを決意し、絵美も彼の「LOVE」によって元気づけられる。
しかし、鬼精歯の怨霊は、絵美と剣二を自分の家に誘い込み、二人の抹殺を目論む。
二人の運命は…?
そして、絵美の危機を救う桃型のペンダントの秘密とは…?」
たまに見かける「LOVE」で悪霊に立ち向かう作品です。
個人的には、男の主人公が妙にアツいところが、片岡かつよし「怪談どくろ姫」とオーバーラップしてしまいました。
ただ、物語の中盤でキス・シーン(中学生です)があったところに、性意識の変遷をちょっぴり感じます。(注1)
・注1
性衝動の最も激しい時期に、性衝動を抑圧しなければならないというのが、性的倒錯もしくは性犯罪の最大の原因なのではないか?と個人的には考えております。
もっとうまく解消できないものなのでしょうか?
故・星新一先生の考えた「セキストラ」があればなあ…。
2019年12月25日 ページ作成・執筆