森由岐子「骨よせお七」(1988年5月15日第1刷発行)
「七子は、田舎の祖父の葬式に出て以来、火あぶりにされる夢に毎夜、悩まされる。
心当たりと言えば、田舎の家で、八百屋のお七の人形を見たことぐらい。
祖父の家は代々、文楽の人形師であり、蔵の中には多くの人形が納められていた。
その中でも、お七の人形は江戸時代のもので最も古く、顔はネズミにかじられたように所々欠け、非常に不気味に思ったのである。
七子の親友、日高まりも(本当にこういう名前です)は、心霊現象に詳しい、従兄の日高圭に相談する。
日高圭と七子が会うと、二人は会った瞬間、互いに一目惚れ、圭は七子を守ろうと決意する。
三人は夏休みに入ると、祖母の家を訪れる。
圭は早速、お七人形を見せてもらうが、その際に、祖母からお七人形にまつわる話を聞かされる。
お七人形には、火刑にされたお七の骨が、彼女の両親の希望により、使われているという。
圭は、お七人形をお寺に持って行こうとするが、果たせない。
それどころか、七子がお七人形に憑りつかれ、人形を一時も手放さなくなる。
七子はどんどん憔悴していくものの、人形を取り上げれば、悪夢に悩まされ、手の施しようがない。
圭は七子を救おうと苦心するが、その彼をお七人形がひそかに窺っていた…」
唐沢俊一&ソルボンヌK子「森由岐子の世界」(白夜書房)にて紹介された作品です。
人形を扱った怪奇マンガには、めちゃくちゃ大雑把に分けて、二種類あると考えてます。
それは「可愛い、もしくは美しい人形が凶行を行うもの」と「見るからに不気味な人形が凶行を行うもの」。(う〜ん、大雑把過ぎ…。)
「骨よせお七」は「見るからに不気味な人形が凶行を行うもの」の逸品だと私は思ってます。
いや、ほんま、この作品に出てくる人形は実にヤバい!!
表紙からラストまでずっと気持ちの悪いままというのは、なかなか凄いです。
ちなみに、人形を初め、グロ描写はかなり多めですが、ストーリーは基本、純愛ものです。
ただ、ラスト付近、夢に出てくるKKK(クー・クラックス・クラン)みたいな連中は一体何なんだ?!
2019年1月29・30日 ページ作成・執筆