古賀新一「夜が恐い!」(1981年7月15日第1刷・1985年12月15日第12刷発行)

 収録作品

・「夜が恐い!」
 傑作「くらやみ」のリメイクです。
 とは言え、完全に描き直したわけではなく、「くらやみ」からかなりのページを再利用しております。
 そのためか、若干、ストーリーにチグハグなところが出てきてます。
 最初の「幸運を呼ぶアパート」の設定はどこに行ってしまったのでしょうか…?
 でも、変態性欲の描写はバッチリ残してありまして、健全な印象の強いレモン・コミックスではかなりのエロ度でありましょう。
 素っ裸になって、互いの身体を批評し合う娘達や、何と、レイプの描写もあります。
 実は、先っちょにビリビリきたガキんちょ(♂)が多かったのではないか?と考えております。

・「怪鳥バラスは笑う」
「ガソリンスタンドを運営する一家はカラスに悩まされていた。
 そこの次男坊の智男は一計を案じ、剥製のカラスにラジコン模型のエンジンを搭載する。
 そのエンジン・カラスをリモコンで操り、カラスを退治していくが、途中、何故かリモコンが効かなくなり、エンジン・カラスはどこかに飛んでいってしまう。
 十日後、エンジン・カラスが故障して、庭に落ちているのが見つかる。
 庭の木にはカラスの巣があり、卵が二つ入っていたが、その卵からエンジンの音が聞こえる。
 智男は、その卵がエンジン・カラスと普通のカラスの間にできたものと悟り、卵を部屋に持ち帰る。
 卵を孵化させると、内臓がエンジンの雛が産まれるが、雛はガソリンを飲んで、急激に成長していく…」

・「恐怖の十円旅行」
「飛行士に憧れる政一は、デパートの屋上にある遊園地の回転飛行機(何と言うのでしょうか、コレ?)で居眠りしてしまう。
 目が覚めた時は真夜中で、出入り口にはシャッターが下りていた。
 仕方なく飛行機の中で休もうとすると、ハンドルの近くに十円硬貨を入れる穴がある。
 試しに入れてみると、飛行機が宙を飛び始める。
 しかし、灯台のある場所に来たところで、プロペラの回転が落ち、飛行機はストップ。
 手持ちの十円硬貨はなく、政一が狼狽していると、人面蟻が現れる。
 十円硬貨を入れるよう人面蟻は繰り返して姿を消し、結局、政一は飛行機から振り落とされてしまう。
 運よく無傷ですんだ政一は飛行機を確かめるべく、デパートに向かうが、定休日。
 だが、偶然に人面蟻を見つけ、その後を辿って、飛行機の居場所を突き止める。
 工事用のクレーンを使い、飛行機に移った政一は、思う存分、空の旅を楽しもうとするが…」

 デロデログログロな「夜が恐い!」よりも、奇想が炸裂した小品の「怪鳥バラスは笑う」「恐怖の十円旅行」の方が面白く感じました。
 古賀新一先生以外には決して誰も思いつかないようなアイデアの作品です。
 特に、「怪鳥バラスは笑う」は、あまりに発想が奇抜で、傑作だと思います。

2018年3月27日 ページ作成・執筆

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