御茶漬海苔「TVOB テレビ テレビ」(1990年2月5日初版第1刷発行)

・「CHANNEL-23 さよならの朝」
「洋一はスポーツカーに夢中の高校生。
 学校で不真面目な彼を、警察官の父親は叱責する。
 ある朝、彼は憧れの「ポルシェ911」を道端で目にする。
 鍵はついたままで、彼はその車を盗んで、かっとばす。
 だが、行く先々で事故を起こし…」

・「CHANNEL-24 もうやだ!!」
「県立第一中学校の一年生、細井正夫の生活は地獄であった。
 学校では成績が悪いと教師に苛め抜かれ、家では母親に「ダメな子」の烙印を押されていた。
 ある日、彼が部屋にいると、誰かが背後から話しかけてくる。
 それは、まだこの世に産まれてない弟であった。
 弟は「僕、生まれたくないよ…」と兄に助けを求める。
 弟と自分を救うため、彼は遂に決心をする…」

・「CHANNEL-25 メルト・ダウン」
「マンションの一室でさかる一組のカップル。
 つけたままのテレビでは、原発ジャックの事件のニュースが流れていた。
 原発ジャックの犯人達はコントロール室に立てこもり、原発の全面廃止を要求する。
 要求が飲まれない場合は、千葉原発の原子炉を暴走させるつもりであった。
 だが、ジャックされた原発にはレンジャー部隊が送り込まれ…」

・「CHANNEL-26 うわさの包囲網」
「ある公園の砂場。
 小学生達が協力して、大きな砂の城を作る。
 だが、野球をしていた青年がボールをキャッチした際、尻もちをついて、砂の城を壊してしまう。
 小学生達は、青年が幼女殺人事件の犯人という噂を流し、彼の顔写真のついた手配書までつくって、団地に貼り付ける。
 青年が異変に気付いた時には既に…」

・「CHANNEL-27 テレビテレビ」
「あるマンションの一室にある「ファミコンソフト開発部」。
 ソフト開発部チーフ、高島浩(25歳)は遂に「体感ファミコン」を完成させる。
 早速、テストのため、ソフトをファミコンに差し込み、ヘッドギアを装着。
 ソフトの内容はサバイバル・ゲームで、すぐに射殺され、ゲームオーバー。
 高島はゲームとは思えぬリアルさに圧倒され、興奮が止まらない。
 彼はリプレイするのだが…」

・「CHANNEL-28 ひとり」
「中学生のたかしはいつももう一人のたかしと一緒。
 大人しくて、引っ込み思案な彼と対照的に、もう一人は反抗的で乱暴。
 家では口うるさい母親に何かにつけ文句を言われ、学校では孤立してたが、もう一人のたかしのお陰で寂しくはない。
 ある雨の日、彼は、もう一人が止めるのも聞かず、少女に傘を貸す。
 それをきっかけに、たかしは彼女と仲良くなるのだが…」

・「CHANNEL-29 ハンニン」
「私立日本国女子高等学校。
 教師の鬼川は競馬で大金をすったため、金庫にあったPTAの寄付金を盗む。
 彼は、金庫の前に制服のボタンを落としておき、生徒の犯行だと偽装。
 全校生徒の身体検査を強行した後、田中幸代という目立たない生徒を犯人にでっちあげる。
 彼は生徒指導室で幸代に壮絶な暴力を加え、ムリヤリに自白させる。
 これによって、田中幸代は退学になるが、佐藤という女子生徒はこれに異議を唱える。
 何故なら、盗みのあった当日、彼女は幸代と一緒にいて、幸代にはアリバイがあったからであった。
 鬼川は佐藤も黙らそうとするのだが…」

・「CHANNEL-30 水たちの復讐!!」
「さよ子と恵子は海辺のホテルに泊まる。
 目的はスキューバ・ダイビング。
 最高の場所があるというので、そこに向かうが、途中、水流に巻き込まれてしまう。
 気が付くと、泡だらけの場所に来ていた。
 恵子はゴーグルが割れ、目が痛いとさよ子に助けを求めるが、さよ子は彼女を突き飛ばし、自分だけ海岸に戻る。
 身体中、ベトベトで、ホテルに戻った彼女はシャワーを浴びるのだが…」

・「CHANNEL-31 死@」
「田中夫婦の間に生まれた女の子。
 夫婦は女の子に生代を名付け、18年の歳月が流れる。
 生代は京都女子大の受験を受け、一人で合格発表を見に行く。
 夫妻のもとには生代から合格したと電話があるが…」

・「CHANNEL-32 死A」
「戦場。
 ハリーは人を殺すのも、自分が死ぬのも何とも思わない兵士。
 新人兵士のジョンは怯えて役に立たず、ハリーは彼を嫌悪し、逃げたら殺すと脅す。
 ハリー、ジョン、スティーブの三人に午前二時、敵陣への突撃命令が下る。
 敵の攻撃は激しく、スティーブが殺されるのを見て、ジョンは恐怖で身がすくむ。
 ハリーだけは敵を片端から掃射していくのだが…」

・黄民基「現在ネットワーク犯罪」
 「金属バット両親撲殺事件」「目黒中学生一家惨殺事件」「横浜浮浪者連続襲撃事件」といった少年犯罪から、1980年代の子供達が置かれた社会状況や「学校」についての論考。
 御茶漬海苔・作品だけでなく、川島のりかず作品についても理解の助けになります。

 「さよならの朝」「ハンニン」がとてつもなく寒々しい作品で印象に残りました。
 ストーリーを捻った作品よりも、加速度的に悪化する状況になすすべもなく巻き込まれていく人間を描いた作品の方が、ストレートな分、より現実味を帯びているような気がします。

2022年8月9〜11日 ページ作成・執筆

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