柿崎普美
「ブラッディ・マリィ@」(1984年6月30日第1刷・1986年6月15日第6刷発行)
「ブラッディ・マリィA」(1984年7月30日第1刷・1986年6月15日第6刷発行)

 収録作品

・「ブラッディ・マリィ」(1983年「週刊マーガレット」6号〜13号/単行本@A収録)
「高校二年の土屋真璃(17歳)は園芸部の心優しい女の子。
 彼女は血を非常に恐れ、初潮がいまだ来ないことをコンプレックスに感じていた。
 また、彼女は、銀の髪に緑の目、それに銀の角をした、魔法使いの男の子の夢を、幼い頃からよく見て、その魔法使いに憧れる。
 ある雨の日、男子生徒に未発育なことをバカにされ、真璃は学校の外にとび出す。
 そこで、彼女は交通事故にあうが、黒髪の魔法使いが現れ、彼女の命を救う。
 彼は「きみが血を流す時、きみに秘められた悪魔が目ざめる」と警告し、「やつら」に襲われた時は自分を呼ぶよう言う。
 以来、彼女はモンスターや謎の魔法使いに襲われるようになる。
 彼らは、彼女を「血の女王(ブラッディ・クイーン)」と呼び、彼らの国に連れて行こうとする。
 その度に、彼女は黒髪の魔法使いに助けられ、彼女は彼に想いを寄せるようになる。
 しかし、キスを拒絶され、悲嘆に暮れていたところ、突如、初潮を迎える。
 それどころか、髪は銀色になり、顔は西洋人のように変化して、以前の面影は全くなくなる。
 戸惑う彼女は異世界へと移され、そこで、ローファー・ド・リグレインという国王と出会う。
 彼には、彼女が夢で見ていた、銀の魔法使いの面影があった。
 しかし、早々、彼は彼女をレイプしようとする。
 「血の女王」は王の一族に代々処女を捧げることになっていた。
 そして、初夜の血に狂った女王は、大地と海と空を自由に操る魔女となり、魔女は、いくら憎む相手であっても、処女を捧げた男のしもべとならざるを得ない。
 彼女が、黒髪の魔法使いに助けを求めると、突風が彼女をさらっていく。
 ローファーは、彼女を連れ戻すよう、彼の異父弟であるロッド・リグレインドに命令する。
 だが、彼こそ、真璃を救った魔法使いであった。
 「血の女王」の秘密とは…?
 そして、暴力と荒廃が支配する、この世界の運命は…?」

・「ダーク・ハンター 〜見しらぬ狩人〜」(1983年「週刊マーガレット」37号/単行本@収録)
「親友の矢野麻美の自殺。彼女のお腹には赤ちゃんがいた。
 叶由利子はそれにショックを受けるが、下校途中、伶と名乗る男から麻実の自殺について尋ねられる。
 そこに、鷹頭真人が現れ、伶は立ち去る。
 鷹頭真人は、有数の資産家の息子で、勉強もスポーツも抜群、女子生徒達の憧れであった。
 これをきっかけに、由利子は彼とこっそり交際することとなる。
 しかし、真人も、麻実について、何かを聞き出そうとする魂胆があるようであった。
 彼女には、伶という男が何故か、つきまとい、彼から手を引くよう警告するのだが…」

・「バッド・ドリーム」(1983年「週刊マーガレット」45号/単行本A収録)
「那子(ともこ)は、歌手に憧れる女子高生。(ユーミン大好き)
 彼女は恋人の秋(あきら)のために自作の歌を録音するが、当の秋は全く興味なし。
 ある日、いつもの痴話喧嘩の最中、那子は、二階のフォーク・ギター部部室のベランダから転落してしまう。
 下にいた秋が彼女を受け止めるが、その瞬間、那子は異世界へとスリップする。
 その世界では、歌は悪魔や魔女が人間を狂わすためのものと見做され、歌を歌う者は問答無用で処刑されていた。
 那子は、そこの世界の秋に、自作ソングを聴かせると、彼は涙を流す。
 しかし、彼にとっては歌は人を狂わすものでしかなかった。
 ヤケになった那子は昼休みの放送にその歌の入ったテープを流すのだが…」

・「照美くんファイト!」(1983年「週刊マーガレット」52号/単行本A収録)
「山崎普美は剣道部に所属する女子高生。
 彼女の通う東校では、綿摘忍という女番長が好き放題していたが、普美だけが彼女に逆らっていた。
 ある日、彼女のクラスに、吉川照美という青年が転入してくる。
 彼は常時サングラスをかけ、綿摘忍のバックである、西校の大番長を倒した腕前らしい。
 普美は彼を剣道部へ誘うが、この彼、実際は、大の臆病者&へたれであった。
 だが、彼がサングラスを外し、赤い色を目にすると、途端に驚異的なパワーを発揮する。
 彼はもともと双子で、身体の弱い彼を、兄がいつもかばって、助けてくれていた。
 しかし、兄が交通事故死して以来、赤い色を見ると、気が遠くなり、兄に変身してしまうという。
 彼は兄の幽霊に憑りつかれていると思い込んでいたが、普美は、これは彼本来の力だと確信。
 彼を剣道部に入部させて、自信をつけようとするのだが…」

 「ブラッディ・マリィ」は、アダルトなテイストの濃いファンタジーです。
 個人的には、なかなかの良作で、柿崎先生の代表作の一つと言っていいと思います。
 「ダーク・ハンター 〜見しらぬ狩人〜」は、「ダーク・ハンター」シリーズで初期の作品なのでしょうか?
 続きは、「ダークハンター 死者の学園」(集英社)や「死人狩り」(秋田書店)で湯むことができます。
 「バッド・ドリーム」は、ユーミンやEPOに時代を感じます。ヒロイン自作の歌のクサさもいい塩梅です。

2020年7月24・25日 ページ作成・執筆

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