柿崎普美
「悪魔は眠らない@」(1982年2月28日第1刷・1983年11月15日第9刷発行)
「悪魔は眠らないA」(1982年3月30日第1刷・9月15日第5刷発行)
「悪魔は眠らないB」(1982年4月30日第1刷・1983年3月15日第7刷発行)


・単行本@
「悪魔は眠らない」(「週刊マーガレット」1981年14号〜23号連載分)
 高校二年の七瀬一美は、天乃翔という転校生と出会う。
 彼は、彼女が幼い頃から度々目にした幽霊とそっくりであった。
 同じ頃、彼女の身体からマリアと名乗る女性の幽体が現れる。
 マリアは、一美が幼い頃、死にかけた時、彼女の身体に入って、死の世界から連れ戻したと話す。
 以来、マリアは彼女の体内で眠り続け、彼女が十分に成長した今、目覚めたのであった。
 だが、マリアは聖母のような外見とは裏腹に、実は悪魔であった。
 マリアは一美の憎しみを利用して、次々と人を死に追いやっていく。
 悪魔を退治する力を持つ天乃翔は一美の中に棲む悪魔を倒そうと奮闘するのだが…」

・単行本A
「悪魔は眠らない」(「週刊マーガレット」1981年24号〜33号連載分)
 マリアは、一美を心身ともに悪魔にすべく、理事長の孫娘の死体を蘇生させ、一美を襲わせる。
 母親を殺された怒りから、一美はマリアの支配下にほぼ置かれることとなる。
 その間、マリアは様々な人間の魂を得て、ますます力を付けていく。
 一美の身体から脱け出た隙を狙って、翔はマリアを倒そうとする。
 マリアは一美の身体に戻ろうとするが、一美に拒否されて、叶わない。
 一美に一体何が起こったのであろうか…?

・単行本B
「悪魔は眠らない」(「週刊マーガレット」1981年34号〜41号連載分)
 一美の身体から追い出されたマリアは、一美の母親の死体に憑りつき、教師として、一美の学校に赴任する。
 マリアは、一美と翔の周囲で怪現象を次々と起こし、二人が悪魔であるという噂を立てさせる。
 翔は、一美を守るため、彼の別荘へと非難する。
 しかし、マリアはその追跡の手を緩めず、最後の対決の時が訪れる。
 そして、天乃翔の正体が明らかになるのであった…」
「ビー玉・きらきら」(「週刊マーガレット」1978年20号掲載)
 明と咲子は、血のつながりはないものの、仲の良い兄妹。
 だが、咲子の前に、彼女が孤児院にいた時の幼馴染だと名乗る直木純が現れる。
 彼は、咲子と別れてから、ずっと想い続けてきたと、咲子に迫る。
 純の存在に明と咲子の仲はかき乱され、二人は自身の本心と向き合うこととなる…。

 「悪魔は眠らない」は、柿崎普美先生の代表作であるだけでなく、1980年代に描かれた怪奇マンガの名作の一つです。
 柿崎普美先生は独特なSF・ファンタジー設定を作品に持ち込んで、ストーリーをわかりにくくさせることが多いのですが、この作品は基本、「オカルトもの」なので、安心。
 ストーリーは、「謎の転校生」からラブ・ロマンスを経て「善と悪の戦い」へと発展する、典型的な柿崎普美・節です。
 それだけだったら、埋もれてしまったでしょうが、柿崎普美先生の全盛期だけあって、、少女漫画雑誌にしては凶悪過ぎるグロ・残酷描写を紙面に壮絶に展開。
 特に、二巻の中盤までは快調で、後半、菊川近子先生の「赤い爪あと」っぽくなるのも味わい深いです。(理事長の孫娘がフリークへと変化するシーンや、ヒロインの母親の後頭部が潰れ、眼球が飛び出すシーンはいまだに記憶に残ってました。)
 何度も単行本に再録され、読むのはさほど困難でないと思いますので、興味を持たれた方は一読されてみては如何?

2018年6月30日 ページ作成・執筆

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