美内すずえ「孔雀色のカナリア」
(左側/1975年12月10日第1刷・1979年7月15日第4刷発行)
(右側/1977年1月10日初版発行)

 収録作品

・「孔雀色のカナリア」(「月刊セブンティーン」73年12月〜74年2月号掲載)
「私生児として、母親に虐待されて育った少女、水谷亜紀子。
 高校生になった頃、死の床の母から、双子の妹の存在を知らされる。
 十六年前、未婚のまま、双子の女の子を産んだ母親の前に、同じ産院にいた紳士がある申し出をする。
 彼と身重の妻はこの地に旅行に来た際、急に容体が悪化し、死産、更に、妻は二度と子供の産めない身体となってしまった。
 そこで、紳士は秘密裏に女児の一人を譲ってくれるよう、亜紀子の母親に頼んだのである。
 亜紀子は、双子の妹が、事業家の娘、岩淵優子であることを知り、おじのもとを家出し、東京に向かう。
 実の妹との再会を果たすものの、彼女に蔑まれ、亜紀子の妹への嫉妬と憎悪は膨れ上がる。
 亜紀子は、子供の頃に出来た、頬のケロイドを整形手術で消し、岩淵優子について徹底的に調べ上げ、ある計画を練りあげる。
 それは、優子を殺害し、優子の死体を亜紀子の自殺死体に偽装する一方、優子に化けた自分は雪崩に巻き込まれたために記憶喪失にかかるという芝居を打つというものであった。
 計画は亜紀子の思惑通りに進み、彼女は優子の華やかな生活を手に入れる。
 だが、それも束の間、亜紀子は、お嬢様のふりをし続けることが次第に重荷となっていく。
 また、亜紀子の兄代わりであった紅村雨月や、優子の恋人、大月明彦は、亜紀子への不審を強めていく。
 様々な危機を切り抜けていく中、彼女は、優子と犬猿の仲であった冬海京への思慕を深めていくのだが…」

・「ポリアンナの騎士」(「別冊マーガレット」1974年5月号掲載)
「ポリアンナには「騎士」と考える男性がいた。
 ポリアンナがまだ母親のお腹にいる時に、彼は、馬車で事故をした母親を助けてくれたと言う。
 その時、彼は額に十字の傷を負ってしまったが、名前も素性もわからないままであった。
 だが、ポリアンナがピンチに陥るたびに、彼は彼女を助けに現れ、また、何処ともなく去っていく。
 彼女は「十字の騎士」に巡り合う日を夢見て過ごし、遂にスイスで再会するのだが…」

 個人的に、「ポリアンナの騎士」が大好きです。いや、良い話だと思います。
 よくあるストーリーでしょうが、美内先生の手にかかれば「スピリチュアル」な作品になるところが、感慨深いです。

 「孔雀色のカナリア」は「美内すずえセレクション 白の章 13月の悲劇」(宝島社)にて復刻されております。

・備考
 右側の本はカバーに痛みあり。。

2018年9月11日 ページ作成・執筆

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