光原伸「サランドラの壺」(2014年2月24日第1刷発行)

・「サランドラの壺」(「週刊少年ジャンプ」1998年6号掲載)
「内気な美奈は学校ではいじめの対象となり、家では、母親に虐待される。
 これも全て、六歳の美奈が溺れているところを父親が助けようとして、溺死してからであった。
 彼女の唯一の楽しみは、骨董屋のバイトで、骨董屋の古賀史郎だけは彼女に優しく接してくれる。
 だが、内縁の父親により、バイトをやめざるを得なくなり、追い詰められた彼女は骨董屋の「サランドラの壺」を持ち出す。
 これは、火刑に処されたサランドラという魔女の骨壺で、何でも願いを叶えてくれるらしい。
 外人墓地で美奈が壺に生血を捧げると、サランドラが復活する。
 しかし、美奈はサランドラを見て、失神。
 サランドラは町の人々を次々とゾンビ(よりは「デモンズ」に近いかも)に変え、町はパニックとなる。
 美奈は古賀史郎と共に病院の一室に立てこもるが、意を決して、再び外人墓地に向かう…」
 病院でゾンビが現れるシーンが、もろに「悪魔の墓場」だったのには、感激いたしました。

・「非情の標的」(「スーパージャンプ」2001年17号掲載)
「サスペンスの分野でのベストセラー作家、ジャック・クレイトン。
 彼の作風は登場人物が常に危険にさらされるというものであった。
 そして、今夜、彼は、自分の妻を寝取った秘書のハリィに、新たな危機を演出する。
 まず、彼を地下室の射撃室に閉じ込め、左端の小さな標的を狙うよう指示。
 この標的の裏には、クレイトンの妻、ジュリアが拘束されており、標的を外すと、ジュリアを傷つける。
 また、五分以内に標的を撃ち抜かないと、ジュリアの口枷に仕込まれた時限爆弾が爆発することとなる。
 ハリィはこの危機をくぐり抜けられるのであろうか…?」

・「絶対安全サーヴィス会社」(「オースーパージャンプ」2002年7月号掲載)
「携帯電話を物色していた男性は、クロハラ・キリカという娘に勧められ、無料で携帯電話を手に入れる。
 この携帯電話には「絶対安全情報サーヴィス」というものが付いており、これは未来に起こる危険を有料で教えてくれるというものであった。
 危険後は五段階で、数字が増えるにつれ危険度は高まるが、情報料も飛躍的にアップする。
 このサーヴィスを使い、男性は安全な生活を手に入れるが、徐々にこのサーヴィスなしではいられなくなり…」

・「上京物語」(描き下ろし)
 光原伸先生が、編集者に勧められ、大阪から東京に引っ越した時の思い出話。

・「マジック・セラー 〜ラスト・コール〜」(「週刊少年ジャンプ 平成元年サマースペシャル」掲載)
「月に一度、開かれるフリー・マーケットの会場。
 高校生の芹沢徹は、奇妙な老人(自称「マジック・セラー」)から、声をかけられる。
 彼の売る商品は不思議な力が備わっているという言葉に惹かれ、徹はレトロなダイヤル式電話機を購入。
 その夜、ジャンクのはずの電話機に、女性から電話がかかってくる。
 女性は星野久美という女優で、「大怪獣ゴメラ」に出演していると話す。
 だが、「大怪獣ゴメラ」は20年前の映画で、ある事情からお蔵入りとなっていた。
 更に、電話機を調べると、本体の傷からは小さな鉄球、受話器からは鍵が見つかる。
 彼は、過去とつながる電話機で、星野久美と楽しい時間を過ごすのだが、彼女が巻き込まれる事件のことを知り…」

・「リボルバー・クイーン」(1987年「サマースペシャル」掲載/光原伸先生のデビュー作)
「ラスベガス。
 父親の借金を返そうとして、カジノで一文無しとなった青年。
 彼が自殺を図ろうとした時、カジノのオーナーから一攫千金の話が持ち込まれる。
 それはオーナーとその友人達が見守る前で、ロシアン・ルーレット対決をするというものであった。
 彼の相手は「拳銃の女王(リボルバー・クイーン)」。彼女はこの勝負を九回も勝ち進んできた強者であった。
 二人の命を賭けた勝負の行方は…?」

・「サランドラの挑戦」(描き下ろし)
 案内人の座を狙って、サランドラがミザリィに挑戦。
 その勝負の行方は…?

 「アウターゾーン」で知られる光原伸先生の短編集です。
 作品の素晴らしさは言わずもがなですが、作品解説をしっかりしてくれているのが嬉しいところです。
 個人的に、こういう裏話っぽいものが好きなのです。(とにもかくにも、情報が欲しい!!)

2019年10月31日 ページ作成・執筆

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